原尻淳一/小山龍介
IDEA HACKS! 2.0
人生と仕事を豊かにする「超」発想のコツと習慣
ガイド
書誌
author | 原尻淳一/小山龍介 |
publisher | 東洋経済新報社 |
year | 2011 |
price | 1500+tax |
isbn | 978-4-492-04445-2 |
履歴
editor | 唯野 |
2012.2.15 | 読了 |
2012.2.25 | 公開 |
2012.2.26 | 修正 |
2020.2.25 | 文字化け修正 |
続編が出るだろうし、出れば第二版ではなく 2.0 だろうと思っていたら、その通りだった。ただ内容は前著の続きというよりは、より方向性を絞って全体がまとめられ、それに沿ったハックとして紹介されている。
本書の帯にある「10分でアナタもジョブズになれる !」は正直なところかなりどうかと思ったが(というより私は逆にこれで買うのを躊躇した)、ジョブズの死の直後に刊行されたので、こういう惹句になったのかもしれない。しかし、私自身はジョブズも「組み合わせ」がうまくて今のアップルをもたらしたのだと思っているし、そこで避けて通れないものとして NeXT での失敗があると思う。
即ち前者は iPod というハードウェアを iTune というソフトウェアへ結び付けることにより、提供するサービスがハードウェアベンダーという枠を超え、メディアのサプライヤとしても収益につながるモデルにしたということ。そして、そこでの成功へ最大限にプラスするかたちで iPhone、iPad、iCloud などを相関させながら展開したところにあると思う。ジョブズが真に独創的だったとは私は思わないし、そういうしたたかさは NeXT での失敗による教訓だと考える。
とはいえ、その種の思想的なまとまりの出てきた感が著者たちの最近の本には感じられる。これは例えば GTD のデビッド・アレンが先に GTD の原則という思想からのトップダウンであるのに比べると、Hack という底辺の集積が指向性を持ち始めたボトムアップからのアプローチなのだろう。その分、思想的な広がりの自由度は高いが、「それがどういうかたちになるのか」――はなかなか興味深いところではある。
その一端として、本書ではジョブズの美徳を徹底した Give の精神に見ている。私は、それも間違いではないと思うが、それもあくまでひとつの側面ではないかと思う。この手のビジネス本は割と著者の成功体験に根差したものが多く、逆にいうと挫折経験や批判精神には乏しいことが多い。(特にカツマーの本とか。)
キャリアの複線化といった話題も私でさえやっていることであるが、ではそれが順調にいっている場合はいいとして、そうでないときにどうなのか ? という視点は残念ながら本書にはない。むろん、読者が好きなものを取捨選択して使う――というのが Hack の原則ではあろうが、Hack のマイナス面の効用というか、アンチパターン的な Hack、失敗に対する Hack というのがそろそろあってもいいような気がする。
ジョブズ礼賛はもちろんいい。成功者として彼を捉えるのも問題ない。ただ、失敗者としても彼を捉えたほうが、よりしたたかな Hack ができるのではないかと思う。
まあ、話が逸れたので閑話休題。つらつらそんなことを思ったということで。
抄録
3
ビジネスの現場を見渡してみても、必ずしもスキルはないのに、成功している人はたくさんいます。逆にスキルはしっかりあるのにチャンスが巡ってこないために、埋もれている人を想像するほうがわかりやすいかもしれません。
仕事で成功するために必要なものは、スキルではなく運です。-/-
4 cf.5
運をつかんで成功している人は能力が突出していたというよりも、その業界に献身的な働きをしたからそうなったのです。それによる報酬を顧みず、自分のできる限りのことを行ったからです。だからこそ、その業界における第一人者としてみなから認められるようになったのです。
19
不要なものを捨てることと、ものごとがうまくいくことの間には、直接的な関係がなさそうに見えますが、実は深く関係しています。余計なことに囚われることがなくなるので、正しい判断を下せるようになり、ものごとがうまくいくのです。もちろんこれは、アイデアも同様です。