宮崎駿
宮崎駿イメージボード全集 3 となりのトトロ
ガイド
いいけど、ちょっと高い

書誌
author | 宮崎駿 |
publisher | 岩波書店 |
year | 2024 |
price | 6380+tax |
isbn | 978-4-00-028833-0 |
履歴
editor | 唯野 |
2025.7.9 | 読了 |
2025.7.9 | 公開 |
満を持してというかトトロである。買わないわけにはいかないので買ったという感じ。何だか今年はこんなのばっかり。
中編が長編になったとの解説があり、そのためなのか不明ですが、量も増えている感じでよかったです。
抄録
169
鈴木 宮さんは「絵は描いたけど、物語がないんだよ」と言いました。僕はイメージボードがすでにあるのだから映画もできるだろうと思っていたのですが、宮さんが言うには、「これはただイメージを描いただけ、点だけで線になっていない」ということでした。
これは映画化よりかなり前の1980年代前半の話。
173
鈴木 作品の中にその味が出せるかどうかです。1960年代を描くのなら、それをわかっている人が良い映画を作ります。70年代にはそこをわかっている映画がまだありました。大事なことを言っておくと、宮さんは日本が本当に貧乏だった時代を知っていて、その記憶が強烈にあるんですね。「トトロ」の見るべきところのひとつに、貧乏の味を出せるかどうか、つまり貧乏をどうやったら表現できるか、があるんです。貧しかった日本の時代を描いた映画はたくさんありますが、正直なかなか上手くいっていないと思います。どこかウソっぽい。モノが豊かな時代にそれを表現するのはとても難しい。だけど宮さんは体験として沁みついているから上手なんです。映画ってそういうところをちゃんと表現できるかどうかが大切で、だから高畑さんや宮さんの作品で何が面白いかと言うと、そこがちゃんと描かれているということなんです。