リーナス・トーバルズ, デイビッド・ダイヤモンド
それがぼくには楽しかったから
全世界を巻き込んだリナックス革命の真実
ガイド
書誌
author | リーナス・トーバルズ, デイビッド・ダイヤモンド |
editor | 風見潤(訳)、中島洋(監修) |
publisher | 小学館プロダクション |
year | 2001 |
price | 1,800+tax |
isbn | 7968-8001-1 |
履歴
editor | 唯野 |
2001.6.29 | 読了 |
2001.6.29 | 公開 |
2003.11.19 | 修正 |
2012.1.17 | タグ追加 |
2020.2.25 | 文字化け修正 |
Linux の開発者である Linus Torvalds の自伝。どこでも売り切れだとばかり聞いていたので増刷されるまで待つか...と半ばあきらめていたのだが、さすがはアキバの書泉というか(たまたま通りがかることができたのである)、何と手に入れることができた !! これくらい有名な本だと文庫になるのを待つというのが通常のパターンなのだけれども、その種の本を出たばかりの単行本で買うというのは我ながら非常に珍しい。
内容は全 3 部に分かれていて、生い立ちと Linux のできるまでと、オープンソースとしての広がりを見せてから、という時間に沿ったものになっている。個人的に最も印象に残ったのは、Linus の万事における気負いのなさで、これが Linux の成功の大きな理由のひとつなのだということへのつながりの部分だった。少し前に読んだ 『闘うプログラマー』 と比較してみても、その点が特に顕著といえる。私も仕事である以上は「おもしろくなければ意味がない」とは思っているが、その延長線上のものが実際に世界レベルでのムーブメントにまでなったことは本当にすごいことだ。
また、Linus が初めから OS を目指して開発していたわけではなく、あくまで MINIX に不足していたターミナルソフトに機能を追加していった結果として、OS と呼べるものができたという逸話は、真実味があってよかった。オライリーからも Linux カーネルを扱った本が出るようだし、私も知識としてだけでも、その深淵に触れてみたいものだと思う。
抄録
13
で、人生にとって意義のあることは三つある。三つの原動力だ。ひとの営みのすべてのこと…いや、人はもちろん、生きとし生けるものが行うすべてのことの原動力だ。
一つめは生き延びること。二つめは社会秩序を保つこと。三つめは楽しむこと。
人生はなんであっても、この順序で進んでいくんだ。何かをしようっていう原動力は、いつだって、初めは生存に関係していて、それから社会的なものへと移り、最後は純粋な楽しみになる。そして、楽しみのあとにはもう何もない。だから、人生の意味は、この第三のステージにたどり着くことだといえる。つまり、第三ステージにたどり着けば、あがりってこと。ただし、まず前の二つのステージを経験しないとだめだけどね。cf.14/17/361
26
嘘はやめよう。ぼくはオタクだった。コンピュータ・マニアだった。それも、かなり小さい時から。強力な布テープで眼鏡を修繕したりこそしないものの、オタクに近いものだった――それ以外の条件はぜんぶ揃っていたんだもの。数学が得意で物理も得意、けれども礼儀とかなんとかになると、ゼロ。そして当時は、オタクはいいものだなんて、認められていなかった。cf.356
31
Linus の初めて書いたプログラムは BASIC で HELLO を延々と表示するものだった。cf.43