佐藤真知子
号令のない学校
オーストラリアの教育感覚
ガイド
書誌
author | 佐藤真知子 |
publisher | ちくま文庫 |
year | 1994 |
price | 580 |
isbn | 480-02856-0 |
履歴
editor | 唯野 |
1999.9.2x | 読了 |
1999.10.3 | 公開 |
1999.10.30 | 修正 |
2020.2.25 | 文字化け修正 |
読んで初めて気付いたのであるが、実は本書の著者はこの読書ノートでも取り上げている 『日本人をやめる方法』 を書いている杉本良夫氏の奥さんである。内容的には日豪における教育環境の違いに注目した文章がメインである。例えば、教育現場におけるオープン性や、移民国家としてのオーストラリアが持つ多国籍性に伴う違いが取り上げられている。また、父親や母親という役割を「ファザリング」「マザリング」というふうに割り切ってしまう関係の素直さには驚かされた。これを読んで、親子関係もそのくらいに客観視できる視点が実は今の日本の教育では最も必要なのではないかと思った。なぜなら、昨今の日本の教育からは息苦しさしか聞き取ることができないからである。金融ビッグバンであるとか、小選挙区制では先進国が皆そうだから、という理由で導入するのに、なぜ教育の世界ではこういった開かれた方法を導入しないのか――と実に日本のよく分からない点を改めて浮き彫りにさせる内容に満ちた本である。
# 元は京都新聞の連載をまとめたものだそうです。
抄録
14/17/43
幼稚園児に制服のある日本。ひとりひとりに異なる遊びではなく、同じ遊びを勧める日本。「まとまり」と「ひとりひとりの決断」の重きの置き方の違い。
19/26/36
外国籍の学生がどんどん生徒会長などになっていく豪の学校における身近な次元からの国際化。そのための見知らぬ人とでもにっこりと笑顔を交わすということ。逆に、海外での経験を隠そうとする日本の帰国子女たち。
23/27
日本の学校のあらゆる行事ごとに存在する班と目標。そして、日本独特の「家庭訪問」や「先輩-後輩」の関係。