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Drobo 5D3

ガイド

何だかんだといってもDASとしては便利です

Macなら8D(8ベイ)もあります

目次

1購入
2速度比較

履歴

editor唯野
2016.9.28公開
2016.10.5修正
2020.01.145D3のことを追加
2020.01.21修正

購入

これまで個人のデータバックアップ用としてNetgearのReadyNASをNV+、Ultra6と2世代にわたって使ってきました。あくまでバックアップ用であり常時運用しているわけではありませんので、特にこれで不満もありませんでした。そのためUltra6の容量がいっぱいになってきた時点でも現行の316に買い替えればよいかと思っていたのですが、自分しか使わないのであればNASではなくDAS(RAID対応外付HDD)でもいいのでは ?、GbEよりもUSB3の方が転送速度も速いのでは ?――と考えてみると以前より気になっていたDroboを使ってみようということで5D、その後に5D3を購入しました。

とはいえ以前から注目していた割に実際の購入に至らなかったのは、後述しているように値段が高いからです ! しかし、Amazon.comから直輸入できることが分かったため保証にさえ目をつぶれば下手な中古より良いかと無理やり自分を納得させました :) なお、内箱の説明などは日本語も併記された国際パッケージですが、電源ケーブルは3Pプラグで来ますので、タップが非対応の方は2Pへの変換プラグが必要です。

DroboもReadyNASもコンセプトとしては似たところが多いのですが、以下は私が使ってみて感じたReadyNASとDroboの比較です。(ReadyNASと厳密に比較するならDroboは5Nでしょうか...)

DroboとReadyNASで似ているところ

  • RAID 5/6対応
  • HDDのホットスワップに対応(当然ではあるが...)
  • 運用中にRAIDアレイの容量増加が可能
  • 管理ツールが充実

古典的なNASとの大きな違いはRAID運用中でありながら、より大容量のHDDへ交換すればRAIDアレイの容量を増加できる点でしょう。これをReadyNASではX-RAID、DroboではBeyond RAIDと呼んでおり、両者は似てはいるものの微妙な違いもあります。まず、X-RAIDでは最初に構築したアレイから拡張できるのは最大で8TBという制約があり、増加できるとはいっても両者ともアレイの最大容量には上限があります。Droboで第3世代となる5Dの上限は64TBで、これはDroboを割り当てたWindows上のドライブのプロパティでも(実際のアレイの容量とは関係なく)64TBとして表示されます。

Windows上では64TBで認識される

実をいうとReadyNASを選んだ大きな理由の一つはこのX-RAIDにあったのですが、下記の記事などの影響もあり結局のところアレイの拡張をやったことはありません... なお、X-RAIDの制約についてもこの記事が参考になります。

cf. [NAS]ReadyNAS、X-RAID2の注意事項とまとめ

Droboのよいところ
  • 5DのようにNASではないDASタイプがある
  • DAS(ファイルシステムがNTFS)だとEverythingでファイル名での高速検索ができる
  • 思ったよりコンパクト(ReadyNAS Ultra6と比べて)
  • 初期化が速い
  • 管理/運用が楽
  • 組み合わせにもよるがディスク丸ごと移動で他のDroboにマイグレーションできる(5Dから5D3は一発でOKでした)
  • GbEより速い
  • バッテリー内蔵でUPS不要

バックアップするデータの容量が少ないのであればクラウド・RAID1によるミラーリングでもよいかもしれませんが、動画などを扱ってくるとRAID5での運用をしたくなってきます。Droboは実際はRAIDなのですが、あまりそういうところをユーザーに意識させずに利用でき、Drobo dashboardでの管理も分かりやすいです。初期化も速いですし(ReadyNASはアレイの初期化にかなりの時間がかかる)、NASなら避けられないWebブラウザ越しにIPアドレスなんかを設定して――という手順も不要です。コンピュータにあまり詳しくないけれどもデータを冗長化して保持したいという方にはよい選択肢だと思います。また、後述しますが実効速度もGbEよりUSB3の方が速いです。

3TBx5でアレイを構築したところ

Droboのいまいちなところ

  • 値段が高い
  • DASでは最大で5ベイまで(NASかMacなら8ベイあり)
  • 常時通電ではないので電源ボタンは前面がいい
  • キャッシュ用にmSATAを追加できるが効果が薄い
  • HDD停止状態からアクセスするとアクティブになるまで少し待たされる
  • SMR HDDに非対応
  • Thunderbolt3はMacのみでWindowsは非対応
  • 長期間使ったら、だんだんうるさくなってきた

電源ボタンが前面に欲しいのは(非接続時には待機状態になるとはいえ)USB接続状態でPCを起動すると起動に時間がかかるということもあります。また、Droboの特徴の一つとしてアレイ用のドライブベイとは別にキャッシュ用のmSATAを増設することができますが、これがほとんど効果ありません。あくまで推測としてRAID自身をSSDで構築しないと効果が出ないのかと考えますが、製品の特長として謳っている割には効果がないので、少なくとも一般的なSATA HDDでRAIDを構築する場合には気休め程度と思われます。その他、細かいところですがバッテリーを自前で持っており停電時にはこれで電源断に対応するわけですが、バッテリーの劣化を考えるとUPS連携もできた方が安心できる気がします。そうやって比べてみるとReadyNASもコストパフォーマンスは高いといえます。

mSATAを追加したところ

PMR HDDを使わなければならない

実は、その後5Dを5D3に買い換えて適当に余ったHDDで使っていたのですが、なぜかコピー時にものすごく速度が低下し、そのうちディスクにエラーランプがついてディスクを交換しても同じ症状を繰り返すという事態になりました。そのうち2つのディスクでエラーが出てアレイが壊れました。バックアップが別にあったので損害は軽微でしたが、交換したHDDをエラーチェックしても正常です。それでいろいろ調べてみたところ、どうもHDDがSMRだと、大容量ファイルを書き込む際の速度低下時にDroboがドライブ異常と判断するらしく使用できないようです。当初、日米のDroboサイトで推奨HDDが不一致だったりして変だなとは思っていたのですが、今だとSMRのHDDは非対応と書かれています。

実質的に現状の安価なHDDはほぼSMRとなりますので、PMRという時点で割高になります。これはNAS用と謳われているHDDでも不可です。例えば私の場合、SeagateだとBarraCuda、IronWolfは駄目で、IronWolf Proに買い直して、ようやく以前と同じように使える状態に戻りました。Seagateの場合、本家のサイトでユーザーマニュアルを開きRecording MethodがPerpendicularとなっていればPMRです(IronWolfの10TB以上か、IronWolf Pro)。これが将来的にDroboのファームウェア・アップデートなどで解決できるのかどうか不明ですが、公式サイトがSMR非対応を宣言している以上、恐らく厳しいのだと思われます。(大容量ファイルでのSMRの速度低下は機構上不可避なので、NAS/DASとしての速度を確保できないと思われます。)そのため、速度とHDD単価のトレードオフをどう取るかによってはNASの方がよいということにもなります。

cf. ST10000VN0004 [10TB SATA600 7200] のユーザーレビュー・評価

Thunderbolt3はMacのみ

5D3や8DのThunderbolt3はMacのみ対応です。Windows10で手持ちのThinkpad X1 Yoga 3rdからThinkpad Thunderbolt3 Dockで5D3にThunderboltでつないでも認識したふりはするのですが、Drobo Dashboardからも見えず使えません。これも当初、公式Webにその記載がはっきりなくハマりました。Thinkpad USB Type-C DockでのUSB 3.0なら問題なく、それでも200MB/secくらいの転送速度は出ますので十分高速です。但し、ケーブルやハブはAnkerなど信頼できるメーカーがよいです。安物だと認識しなかったり速度が安定しませんでした。

速度比較

おなじみのCrystalDiskMark 5.1.2 x64で計測してみました。母艦はWin7 SP1のThinkpad W530です。

ReadyNAS Ultra6 via GbE

アレイの使用率99%の状態で計測していますので、空き容量が増えれば改善されるのかもしれません。ちなみに他の人でも同様かどうかは不明ですが、アレイ使用率99%くらいになると空き容量があっても大容量ファイルの転送がかなりの確率で失敗するようになりました。(テンポラリがない ? たまに成功するときもある。)

readyNAS

Drobo 5D via USB3

GbEより速いです。4Kがものすごく遅いですが原因不明です。まあ、バックアップ用だし現状の体感上での不満はないので問題なし。

USB3

Drobo 5D + mSATA via USB3

わずかに良くなる程度でmSATAを買い増すほどの効果が感じられません。

mSATA

Drobo 5D via USB2

試しにやってみましたが、さすがにこれならGbEの方がいいですね... CPUへの負荷と合わせてThunderbolt、eSATA、Firewire800などとも比較してみたいところですが、とりあえず私の環境ではUSB3 > GbE > USB2ということが分かりました。

USB2

母艦の内蔵mSATA SSD(Cドライブ)

さすがに爆速です。もはやSSDからHDDに戻ることはできません :)

内蔵SSD

母艦の内蔵SATA HDD(Eドライブ)

DVDドライブベイに2.5" HDDを増設しています。これを見る限りUSB3というよりもHDD自身の速度の方がネックに見えるためDroboもHDDをSSDにすれば速いのか ? と推測しますが...

内蔵HDD