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ブルーローズ

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editor唯野
2004.10.18公開
2006.11.1修正
2020.2.25文字化け修正

ブルーローズ少し前、浜名湖・花博というものに行ってきました。最も興味深かったのは不可能の代名詞とされてきたブルーローズを見たこと。その次はジュラシック・ツリーを見たことです。それ以外は雨やら渋滞やらでよかったところはありませんでした。ちなみに写真は現時点で最も青いとされるブルー・ヘブンと呼ばれる薔薇です。個人的には青というより白という気がするんですが、解説によると青が徐々に白へ近づいていくのだとか。

この手の博覧会は人だらけで物を見に行くというよりも人を見に行くとしか思えないのですが、それはさておき、会場には所狭しと種々の花々と植物が植えられていました。また、その多くは庭園として演出されており、これでもかとばかりにたくさんの庭園がありました。そして、これらの庭園のそのほとんどになぜか賞が与えられていたのはここでは措くとして、よく考えてみるとこれらの庭園・花々は皆、今この時点が最も美しくなるように演出されていたわけです。

花の寿命と四季の移ろいというものを考えると、これらの庭園は一年を通じて見られたらどうなのか――という問いに答えられるものではなかったように思います。そう考えてみると、あくまでこれらは博覧会の開催されている期間だけのものであるし、そういう場所と時間に限定された演出という点で、このような博覧会という空間こそが現代における人工の極地というべき場であるように感じました。

なぜなら上述のブルーローズも今やバイオテクノロジーをその足がかりとしているわけであり、もっといえばブルーローズもその一環という方が正しいからです。いうまでもなく、自然のままがよいというだけでは一方の極論にしかなりえず、よく耳にする環境との共生とはいいかえるならば、人口環境との折り合いがどこに置かれるのかという問いにほかなりません。では、この博覧会がそこまでの答えを会場そのものから提示できていたのか、文字通り環境との共生をテーマに掲げている来年の愛知万博はどうなのか――単にブルーローズを物珍しがるだけでは、ブルーローズ(不可能)を実現した技術の背後にあるものを忘れてしまうのではないかと思った次第です。