大塚泰子
小さな家のつくり方
女性建築家が考えた66の空間アイデア
ガイド
書誌
author | 大塚泰子 |
publisher | 草思社 |
year | 2016 |
price | 1500+tax |
isbn | 978-4-7942-2224-4 |
目次
1 | 本文 |
履歴
editor | 唯野 |
2017.4.23 | 読了 |
2017.10.13 | 公開 |
小住宅のガイド本。建築にも詳しくない施主に向けて小住宅に特化したポイントを扱った本であり、また半分は著者の宣伝を兼ねている。そのため『伊礼智の「小さな家」70のレシピ』ほど具体的な納まりまで踏み込んだ内容ではなく「家を建てるとすれば小さな家にしたいが、どんな点で小さくない家と違ってくるのか、またどういう点で留意すべきなのか」というとっかかりを理解するのに適した本となっている。目次にもあるように、著者の掲げる小さな家のルールは以下の7つであり、それに沿った説明がされている。
- 土地全体を〝家〟にする
- 外空間と内空間をつなげる
- 一石三鳥の空間をつくる
- 光と風を呼び込む仕掛けをつくる
- 目の錯覚を利用する
- フレキシブルな空間をつくる
- 大きな木を一本植える
類書にも通じることであるが、全般的にいえるのは小さいことを狭いことにはさせないための方向性・工夫ということである。むろん、そのための具体的な方法は設計士や施主の希望によっても変わることなので、答えがひとつというわけではない。例えば著者は採光を得ながらプライバシーを確保できる半透過性建材としてパンチングメタルを割と紹介しているが、素材を含めてやり方は他にもいろいろある。住宅というものの難しい(面白い)ところは住み手に応じて全く同じ住宅は生まれないという点にあることを考えれば、本書は小住宅に対する最初の一冊として好適だと思う。しかし、当然ながら他の類書にも当たるべきだろう。
# なお、p143では針葉樹としてブナが挙げられている。最近の設計士さんはやはり木には詳しくないのであろうか...