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甲斐徹郎・星亘二
人生を変える住まいと健康のリノベーション
人生100年時代の幸福戦略

ガイド

断熱改修が高齢社会に合致することを説いた良書

書誌

author甲斐徹郎・星亘二
publisher新建新聞社
year2018
price1900+tax
isbn978-4-86527-080-8

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2022.2.13読了
2022.2.18公開

断熱改修こそが今後の高齢化社会における住み手の健康・長寿を満たすためのキーポイントであるという視点から書かれた本。

戦後の国内住宅が断熱への配慮に欠け、次世代省エネ基準すら諸外国に比べると時代遅れとなっていることは周知の通りだが、本書ではケーススタディも交えつつ極めてまっとうな提言がなされていると思う。

特に最後で触れられているうように近所づきあいのようなコミュニティを含めたコミュニケーションまで取り上げられているのは大変よいと思った。

どうしても断熱改修というとその数値であるとか工法の話題が優先されがちだが、実際にそこで何十年と暮らす人の状況も含めて考えなければ意味がない。そのためケーススタディも戸建てだけでなくマンションなども取り上げられているのは、これまた要を得ていると思う。

類書をまとめ読みしている最中であるが、これは良書である。

抄録

6

「暮らしの場」がかつてはもっていたはずの豊かさについて思いをめぐらすとき、私に重要なヒントを与えてれくるのが、元立教大学院教授でもある哲学者の内山節さんです。内山さんは、著書『「里」という思想』(新潮社)の中で、「手ごたえのある幸福感」の拠り所は「ローカルな世界」であると主張します。そして、現代人が置かれている状況を「現在と過去との間にある時間という構造が消えている」と指摘しています。-/-

6-8

つまり、現在と過去とをつなぐ「場」を失った現代人は、浮遊した空間で自由な「個人」ではいられるけれど、今の自分のことしか信じられない「個人」となってしまった。そんな「個人」が人生を全うするためにとても重要となるのが、暮らしの場を見直すことではないかと思います。

8

-/-星先生は、日本は世界的な長寿大国ではあるけれど、その実は寝たきり老人が多い国なのだといいます。そんな寝たきりの長寿ではなく、できるだけ長く元気で活動し続けられる「健康長寿」を実現する上で見直さなくてはならないのは「暮らしの場」であると星先生は言います。