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塩野七生
サイレント・マイノリティ

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書誌

author塩野七生
publisher新潮文庫
year1994
price400
isbn4-10-118107-1

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
?読了
2013.8.17公開

著者は割と長編を含め著作のある人であるが、私が読んだことのあるのは本書のみである。これはエッセイ集で、話題は多岐にわたっているが、女性作家から見た男性の服装への指摘などは「いわれてみると、そうかも」という印象を受けた。高村薫などと比べると、もう少し肩肘を張らなくてもよいというか、読みやすい感じがある。書きものに対するスタンスというか、そういうものが文章にも表れているのかなと思った。

# 但し、刊行年からいって古い話題もあります

抄録

13

-/-ゲーテをして、人類の歴史はすべてここに濃縮されている、と言わせた古代ローマである。科学技術文明は別として、あとはみな経験してしまったらしい彼らの偉大さに、あらためて脱帽するしかない。

17

戦後、それでなければ夜も日も明けない感じだった民主主義も、全体主義の波にさらされた経験のない私には、これもまた、絶対的なものでは少しもなく、人類が今までに考えだした思想の一つにすぎなかった。ファシストで後にコミュニストになったイタリアの作家の、自伝的な作品を読んだことがある。読後の私の感想は、絶対主義的思考法をたたきこまれた者は、それがなくなって自由になっても、その自由を生かすことができなく、結局もう一つの絶対的なものにすがりつくしかない、ということだった。マルクスは死んだ、と言えるのは、マルクスは生きていた、と思っていた人だけである。私のように、マルクスは善良な人々の夢としてだけ生きていたと思う者には、死んだという言葉の裏に、生きていると言っていた時と同じエモーショナルなものを感じて、あの人たちは所詮変ってはいないのだ、と思うだけである。

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