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鎌田慧
ルポ
戦後日本
50年の現場

ガイド

書誌

author鎌田慧
publisher講談社文庫
year1995
price540
isbn6-263020-6

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2000.8.28読了
2000.10.15公開
2003.1.8修正
2020.2.25文字化け修正

タイトルが気になって買った本。しかし、読んでから気付いたことであるが、あくまでも本書は「戦後 50 年」というものをひとつの区切りとして捉えたルポルタージュの集まりであって、戦後 50 年を総括するとかそういう意味でのものではない。私は結構、短絡的に後者的な内容なのかと思って買っていたので、そういう意味では少し期待を裏切られた本だった。

しかしながら、戦後の日本という国の放置してきた問題がいかに多いか――を知る意味では改めてよい勉強になったと思う。よくいわれるように、この国のジャーナリズムには事件の当座は大々的に報道するけれども、1 年も経つとすっかり何事もなかったようになる点がある。つまりは、事件や出来事に携わった人々にとって何が変わったのかは問われないままに――ということだ。そうなると、やはりそのような問題がいくらでも存在しているのだということを再認識できる意義は非常に大きい。

抄録

22-25

農地改革の骨子についての解説。マッカーサーは当初の案を見てそれを激賞したとされているが、結局は米ソ案の中間をとったイギリス案によって第二次農地改革案が作られた。その結果として小作地の約 8 割が自作地化された。

34-36/40/43/45

変革期に寄せられたマッカーサー元帥への直訴という手段。小地主による政策修正のための請願、ボス追放のための密告。しかし、この形態は単に天皇がマッカーサーに取って代わっただけといえなくもない。とはいえ、マッカーサーには天皇にない開放感があった。

農地改革はこの種の改革としては珍しい成功した例といえるが、それも与えられたものであった点に、その後の農民自身の自立の問題を投げかけることになる。戦後はそれまでの小作争議をなくしたものの、高度成長に振り回されたのが結局のところ農村であった点でもそれは明らかである。

48/49/59

沖縄戦の絵で特徴的なのは本来は友軍のはずの日本軍の銃口が沖縄の人に向けられている点。しかし、沖縄県民が被害者である一方で朝鮮人へは加害者だったという視点もある。他方、最近では日本軍の「愛」という言葉による美談化がある。