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本城靖久
セネガルのお雇い日本人

ガイド

書誌

author本城靖久
publisher中公文庫
year1983
price380
isbn12-201084-5

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2000.5.8読了
2000.5.21公開
2000.11.20修正
2020.2.25文字化け修正

地味なタイトルだが、なかなかの快著。文字通り見聞録という言葉がとてもしっくりくる本である。セネガルというアフリカの小国の姿を一方に偏るでなく様々な面から書き出している。加えて、本書は終章で「ほんとうの援助とは」という途上国援助の本質を問うた、しっかり我々に考えることも要求してくるバランスの取れた内容となっている。それだけに、もっと本書は世に喧伝されてよいと思える、久々の掘り出し物であった。(但し、著者がセネガルに滞在していたのは 1972.1 から 1974.7 の間なので内容的には古いのかもしれない。)

抄録

12-13

公務員の給料がべらぼうに安かったことも、私が自治省を飛び出した原因の一つだが、日本の公務員の世界では、団体交渉やストによって給料の増額をかちとることもなく、給料についてはすべて人まかせである。そこで今度も、国連から示された金額で、一も二もなく OK した。ところがどうやら、国連のオファーした最初の金額で承諾したのは、私一人だけらしい。

つまり、欧米では、自分にどれだけの価値があるかということを自分で評価し、それを人に納得させるだけの説得力ある議論が展開できないようでは、一人前の大人とは認められないということである。

〝甘え〟にドップリつかっている日本社会の住民にとっては、きびしすぎる話だが、頼れるものは自分の才能と能力だけというアメリカではもちろんのこと、氏素性やコネがものをいうヨーロッパでも、これはごく当り前の常識である。自己主張もできない人間は、誰も相手にしてくれない。〝能ある鷹は爪をかくす〟というのは、日本国内だけで通用する諺。国際社会では、ハッタリのきかぬ人間は、無能と思われても仕方がない。

14

技術協力で専門家が送り込まれると、受け入れ側の国では、同じ分野のスペシャリストをカウンターパート(相棒)として付ける。つまり、専門家が引き上げてもよいように、この現地人の相棒を仕込むということ。

23