ホーム > 読んだ

小美濃 芳喜
メイカーとスタートアップのための
量産入門
200万円、1500個からはじめる少量生産のすべて

ガイド

個人でも量産の可能な時代がやってきました

良書です。類書があまりない点でも貴重です

書誌

author小美濃 芳喜
publisherオライリー・ジャパン
year2019
price2300+tax
isbn978-4-87311-884-0

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2020.4.15読了
2020.4.19公開

学研「大人の科学」シリーズなどに携わってきた著者による少量生産のノウハウ本で、こういう観点からの本は希少だと思う。中国生産での打ち合わせにおける食事どきでの付き合い方であるとか、自身の失敗談、また実例として本書に合わせて企画・販売された「ツインドリル ジェットモグラ号」の詳細なコストを含めた解説など極めて実践的である。私自身はIT絡みのガジェットというよりも、もっと広くものづくりの勉強目的で読んだ本だったが、それでも十分ためになった。

機会を改めて書きたいと思うが、私は個人的にITの進化とは「個人でできることの拡大」だと考えているので、そういう意味で3Dプリンタなども含めて「量産」までもが個人で可能な時代になってきたというのは、当然の成り行きだと思う。とはいえ、現実のものづくりにおいてはトラブルの連続であり、それをいかに乗り越えていくかがプロであり、それをクリアしていくこと自体が醍醐味なのだというのは全く同感である。「ものづくり」の過程だけでなく、根柢の部分まで語られているのは大変良いと思った。

抄録

5

しかし、量産化・商品化となると資金面やノウハウのない方が多いようです。そこで一般に公開されにくいプロトタイプ以降の手順に焦点をあて、技術立国再構築の一助になればと期待しながら、拙い筆をとらせていただきました。

現在、200万円の元手があれば、1,500円の商品を1,500個、海外で生産することは可能です。販売が順調なら、初期ロットで金型や原価を償却でき、セカンドロットから利益を出すこともできます。

また、技術的セオリーや海外での失敗談についても、40年にわたる私のキャリアの中から、多くの体験・事例を折りこみました。

加えて、本当にこの本に書いてあることを実践すれば量産が可能なことの証として、本書連動企画「ツインドリル ジェットモグラ号」の試作から量産、販売までの詳細な開発製作ストーリーを巻末に記載しています。-/-

10

あなたの作品を世の中に普及させるには、「メイカー」から「スタートアップ」になって、「作品」を「商品」へと変える「量産化」という道に進まなければなりません。

-/-ところが実際は、1個ものを作るのとはまったく違う世界が広がっています。

-/-ホンダを作った本田宗一郎やソニーを作った井深大といった人たちは、かつて、まごうことなきメイカーだったのです。

11-12