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中村好文
Come on-a my house
すまいの風景 Environments for living

ガイド

書誌

author中村好文
publisherラトルズ
year2008
price1600+tax
isbn978-4-89977-230-9

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2013.1.15読了
2013.7.21公開

東京の古道具屋で買った本。帯と冒頭には住宅に対する「全人格、全人生をまるごと放り込める容器」という表現がある。一方、私に強く焼き付いている言葉として上野千鶴子の「住宅は個人を装飾する大きな消費の装置」というものがある。そこには、消費されたモノによって主張される個性と、個性で色づけられるもしくは個性を受け止める場としての住宅がある。これは両者の立ち位置の違いなのだろうが、いずれも示唆に富んでいるといえるのではなかろうか。消費したモノを取り去ったとき、あなたには何が残りますか ? 万人向けの住宅というものはありえるのでしょうか ?

抄録

2

-/-そこには、この建築が20世紀の建築史の中で最も先鋭的で有名な住宅だったことを感じさせるものは、何ひとつありませんでした。ご自慢の息子、コルビュジェがデザインした、あの先駆的なパイプ椅子や寝椅子すら見あたりません。あるのは室内に漂っている人肌の温もりと穏やかな空気、そして色とりどりの可愛らしい品々です。

4

-/-イームズ夫妻にとっては、自分たちのすまいが、新奇だったり、劇的だったりする必要がまったくなかったのだということです。もっと分かりやすく言えば、彼らは鑑賞され、称賛されることを意識したパビリオン的な住宅作品にはほとんど興味がなかったのです。

そんなことより、彼らは自分たちが日々愛用している家具や、食器や、書物や、世界各国の民芸品や玩具のコレクションを、そのまま放り込んでもへっちゃらな大らかな容れ物が欲しかったのだと思います。-/-

22

私は目の前に忽然と現れたこのシュールな光景にしばし呆然と見入っていましたが、頭をひと振りして我に返り、どうやら、この豪邸の家族がふだんはほんの2メートル四方の炬燵のまわりだけで暮らしているらしいことに思いいたりました。それは、ペーソスさえ感じさせる忘れられない光景でした。