山本智矢
今日の必ずトクする一言 メカニクス・エレクトロニクス編
書誌
author | 山本智矢 |
publisher | CQ出版社 |
year | 2002 |
price | 1800+tax |
isbn | 4-7898-2012-2 |
履歴
editor | 唯野 |
2018.1.14 | 読了 |
2018.2.26 | 公開 |
というわけで、パソコン・携帯電話・インターネット編に続く続編である。具体的にはオーディオ・家電類を扱っていて、オーディオ関係はもちろん、CDドライブやビデオデッキなどで勉強になった。テクノロジの進歩によりブラックボックスなものが増えつつある昨今ではあるが、それなりの理論武装さえすれば個人でもハイテク製品の修理・改良・改善が可能なことを本書は教えてくれている。むしろ、新しいテクノロジを個人レベルでもハックできるのだという潮流が生まれてもおかしくはなく、オライリーの出していた『Make』(残念ながら雑誌の日本版は十数冊で終わってしまったが)に通じるものがある。そういう観点で読めば今でもおもしろい本だと思う。
抄録
30-31
そして、ムーブメントは手巻き懐中時計用ムーブメント(ユニタス系)とクロノグラフムーブメント(7750系)を除くと、ETA-2824系とETA-2892系しかない。
2892系は1975年に完成した薄型ムーブメントで比較的高級な時計に使われている。2824系は古くから、ラドー、テクノス、ウォルサム、エテルナ系に使われている。両者の特徴は中央に自動巻機構をコンパクトにまとめて厚みを減らしている点だ。
36 cf.40
それと同時にクロノグラフを構成する5つの歯車の配列と丸孔車、そして小鉄車の配置はたった一つしか存在しないことに気付く。そして5つの歯車はオリンピックと同一の美しい配置になっている。永久秒針が9時にあるのは懐中時計の構造を引き継いでいる証拠だが、この位置が自然であり、ヒトの遺伝子に組み込まれた美意識と呼応するのだ。
この部分を理解すると、ZenithのEl Primeroがなぜ今世紀最高の自動巻クロノグラフムーブメントと呼ばれるかも理解できる。香車からガンギ車に至る輪列はすべて特大で大きく弧を描くように配列されている。-/-