羽生善治
決断力
ガイド
下手な人生本よりも含蓄があります
書誌
author | 羽生善治 |
publisher | 角川oneテーマ21 |
year | 2005 |
price | 686+tax |
isbn | 4-04-710008-0 |
履歴
editor | 唯野 |
2022.1.16 | 読了 |
2021.1.18 | 公開 |
トップ棋士としての著者の紹介は今更不要だと思うが、そういう人が何に重点を置いて考えているか、どういうことを心掛けているか、などがエッセイ風に述べられている。
文章も読みやすく、将棋の知識があるに越したことはないが、そうでなくても十分読める内容になっている。やはり頭のいい人は考えを文章としてまとめるのもうまいということなのか。
それほど突飛なことが語られているわけではないが含蓄があるように感じられるのも成し遂げてきた実績によるものなのだろう。例えば才能とは継続できる能力のことであるというp170の指摘などは好例である。
以前、私は、才能は一瞬のきらめきだと思っていた。しかし今は、十年とか二十年、三十年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。-/-
最近の将棋界は藤井聡太に沸いているけれども、かつては同じような立場にあった著者が当時の米長邦雄や中原誠の側になったことを思うと、逆に含蓄さが増すように思った。
抄録
6
-/-追い込まれたときに重要なのはメンタル面だ。
勝負においては、自分が苦しいときは相手も苦しいのである。-/-
9
将棋は自分との孤独な戦いである。追い込まれた状況からいかに抜け出すか。
追い込まれるということはどういうことか。でも、人間は本当に追い詰められた経験をしなければダメだということもわかった。逆にいうと、追い詰められた場所にこそ、大きな飛躍があるのだ。-/-
12
意表をつかれることに驚いてはいけない。そんなことは日常茶飯事であって、予想どおりに進むことなど皆無といっていい。
勝負は相手が嫌がることをやるものなのだ。これは予想していないだろうという手を、お互いにくり出しあうのだ。