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奥山益朗
正しいようで正しくない敬語
基本用例と間違いやすい用例

ガイド

書誌

author奥山益朗
publisher講談社+α文庫
year1994
price940
isbn4-06-256051-8

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
?.3.21読了
2015.3.2公開
2020.2.25文字化け修正

現代の敬語というものを、その種類や内容はもちろん実際に用いて誤りやすい箇所までを広範に扱った本で「とりあえず敬語に関してならこれ一冊読めばいい」という体裁になっている。その意味では至極便利だと思うのだが、ただ説明が文章主体で要点が箇条書きになっていなかったり、重複する記述もあったりして、本来ならもっとコンパクトにできたのではないか、という感じの本だった。というよりも著者が主張するような過剰な敬語を使うくらいならすっきりした使い方をすべきという主張は同意できるし、誤用の説明も実例が併記されているだけに「少しもったいない」というのが正直な感想だった。

ある程度の敬語との付き合いはどうしても社会人としては避けられないところがあるので、より実践的かつ包括的な本があると需要があるのではないかと思う。

抄録

31/32

一九四六年(昭和二十一年)に当用漢字(千八百五十字)と現代かなづかいが制定され、一九八一年(昭和五十六年)に常用漢字(千九百四十五字)が修正制定されました。

戦後の国語改革は、日本語の表記を表音化に近づけ、ゆくゆくはローマ字にしようとしたアメリカ占領軍の性急な政策だったようです。

41

そこで、上下関係に基づく敬語はそのまま使うが、その上下差をなるべく少なくし、相互尊敬を理想とする、とでもいったらいいでしょうか。

50/52/58

しかし、このこと(敬語の決まり:唯野注)を知っているだけではダメで、どういう相手に、どのような場合に、どういった文句とともにこれを使うかが大切なのです。

結論から申しましょう。日本人は自分の立場を示すにあたって、まず相手のことを先に考えようとするのです。相手がまずあって、つぎに自分が定まる。

前項に日本人は相手によって自分を決めることを書きましたが、さらに日本人は、相手あるいは周囲と自分とを対立関係に置くことをつとめて避けようとします。いや、現実にはこの世の中にはどうしても対立関係が生じますが、それを言葉にする場合には、なるべく温和な表現にするということなのです。