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藤原和博
人生の教科書
[家づくり]

ガイド

書誌

author藤原和博
publisherちくま文庫
year2005
price840+tax
isbn4-480-42162-9

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2007.9.5読了
2010.9.16公開
2010.10.20修正
2020.2.25文字化け修正

住み手の視点で全体を眺めた家づくりの本。人生で最も高い出費を伴うにも関わらず、自ら家づくりに携わらず注文品のように家を建ててしまう人の多い中、本書では施主自らが「お宅通」になり、家づくりを通して家族との関係を確かめ合う――そういう関わり方を提案している。それなりに手頃にまとまっており悪くない本だと思った。また、隅研吾の解説が卓見だと思う。本屋さんでここだけ立ち読みされてもいいと思った。

抄録

24-25 cf.315

建築家は見栄えを優先して、使ったこともない材料や部品を勧めてきたり、住みごこちを無視した作品を作ってしまうことがあります。生活観のまったくない芸術家肌もいます。

工務店は、それこそピンからキリまでいろいろです。おまけに建築家との相性がありますから、ときおり両者のコミュニケーション障害も起こり、それが出来ばえに影響します。

ハウスメーカーは、均一な品質の部品を工場で生産し、現場で組み立て、最終的な性能を保証する努力をしています。それでも現場の条件がまちまちですから、施工する下請けのチカラが、住みごこちのクオリティを左右することは間違いありません。

だからほんとうは、「住まい」にこそ「お宅通」が求められているのです。

31

家づくりの過程では、よく「業者にダマされないように」ということを口にする。ところが一番の難物は、自分自身のイメージの中に巣くった他人の生活。つまり「となりの芝生」のイメージだ。特に外国から輸入された洋風生活への憧れが危ない。

38

もうひとつ強調したいことがある。様式の道具だてや舞台装置は、洋風のライフスタイルとセットでイメージされやすいが、その道具や装置を買ったところで、一緒にライフスタイルまで付いてくるわけではない、という事実だ。