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原寿雄, 内橋克人, 四十物文夫, 安江良介
本と新聞
再販制度を考える

ガイド

書誌

author原寿雄, 内橋克人, 四十物文夫, 安江良介
publisher岩波ブックレット
year1995
price400
isbn0-003324-7

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2001.6.18読了
2001.6.18公開
2001.6.27修正
2020.2.25文字化け修正

再販制度を扱った小冊子。シンポジウムの内容をまとめたもので、論点の整理をするには便利かもしれないが、少し訴えるものに弱さを感じた。というのも、本書の中でも取り上げられてはいることだが、本来ならば再販制度反対と表裏を成さなければならない、出版界なり新聞界の姿勢や流通に対する努力として何があるのか――という点で詰めの甘さを感じたからである。

むろん、私個人としていえば再販制度の見直しには反対だ。しかし、現在の書籍流通というのは、非常にいびつといってよい。また、安江良介式にいえば「志のない」出版社の存在などもある。まあ、そういう存在も多様性のうちだという見方もできなくはないが、単純に反対を唱えるだけではいくら仮に岩波その他がよい本を出したとしても単なる反論だけに聞こえてしまう部分がある。そういう意味では、再販制度というのは文字通り出版界にとっての試金石なのだということを、どれだけ当事者が受け止めているか。これが大きな鍵なのではないかと思う。

抄録

2/4-5/8

再販制度の見直しは規制緩和の一環として公正取引委員会を中心に議論が進められていた(1995 当時)。この背景には日米構造協議や細川政権の平岩研究会(これはあくまでも首相の私的グループ)がある。そして、規制緩和が消費者のためというよりは大企業のためになっている部分への懸念が指摘されている。。

18-19

再販制度見直し/廃止論者の 3 つの論拠。1) 独禁法の例外が新聞・出版のエゴイズムではないかという捉え方 2) 消費者のために価格付けを市場原理で行え 3) 出版文化の定義が漠然としており他の文化との線引きが曖昧。

22-23

上に対する反論。消費者のみに全ての委ねられる一元化への憂慮、価格破壊による技術の途絶、はじめに再販ありきではなく再販制度は大正時代に業界の合意の元で形成されてきたものだということ。そして消費者としてではなく読者という視点。