羽生章洋
楽々ERDレッスン
ガイド
ERD作成よりも、正規化・データ中心アプローチ・RDBMS・SQLの本質の解説が優れた良書
書誌
author | 羽生章洋 |
publisher | 翔泳社 |
year | 2006 |
price | 2200+tax |
isbn | 4-7981-1066-3 |
履歴
editor | 唯野 |
2021.8.18 | 読了 |
2021.8.28 | 公開 |
ちょっと書名で損をしているのではないかという本。確かに本書でメインとなるのは書名にもある通りERD作成部分かと思われるが、それより前の部分が秀逸である。正規化、データ中心アプローチ、RDBMS、SQLなどについて、それらの本質を説明した上で、それに基づいてどう接するべきかが示されており、これが非常に分かりやすい。
むろんRDBMSだけでなく、ある程度プログラムも書ける人を対象としているので初心者向けとはいえないものの、教科書的な正規化の解説でないのは大変良いと思った。なぜなら、本質に基づく指針が示されていることによって、仕様策定・実装時における判断基準が明確となり、かつそれをぶれないものにできるからである。いうまでもなく、このような判断基準を経験だけから得ようとすると相応の時間が必要である。
表面的な知識だけの付け焼刃が通用しないのと同様に、優れたベストプラクティスやアンチパターンであっても一貫して用いられなければ効果は半減する。そういう意味では少し古い本だが良書だと思う。
抄録
8
データベース設計の要点となるのは、「One Fact in One Place」です。この「1つの事実は1つの場所のみ存在する」ということを徹底していくのが基本となります。これを実現するための指針として、正規化と呼ばれる手法が存在します。正規化というと非常に難解な印象を受けるのですが、落ち着いて考えてみると、重複を排除していくことはプログラムにおけるモジュール化の発想と非常に似ていると言えます。つまり、データベース設計というのは「データ構造の部品化」を進めていくことになります。-/-
9
正規化を考えるときに、実務での適用を鑑みるともう1つ考えておくべきポイントがあります。それは、
・業務の視点からの正規化
です。業務の視点からの正規化は、値も見るということです。データの格納される器だけを見て考えるのではなく、そこに格納される値の重複も排除するということです。-/-
10-14
正規化の手順としての項目の全列挙、繰り返し項目の排除、従属性の確認、冗長性の排除、ID付与による疎結合。