柏木博
人工的環境を成立させた電灯
ガイド
書誌
author | 柏木博 |
publisher | 岩波書店 |
year | 『図書 1998.11』p.54-59 |
履歴
editor | 唯野 |
1998 | 読了 |
1999.12.2 | 公開 |
1999.12.2 | 修正 |
2020.2.25 | 文字化け修正 |
「近代」という時代を用意した要素――というものにはいろいろなものがある。それらの要素というものは単独で新しい社会を用意したわけではない。数々の要素がお互いに関係しあうことによってこそ用意されたわけであるが、ここではそれを「電灯」という観点から読み解いている。短い文章ではあるが、とても刺激的である。なぜなら、今の時代における「照明」の果たしている役割の大きさに気付かせてくれるからだ。
抄録
開放型白熱灯であるアーク灯は人工的な太陽として捉えられた
(ハンフリー・デーヴィ(英)1800が放電で炭素棒電極間に光を発生させたのが契機)
この電灯の進化が人工化された空間の日常化をもたらした -> 近代都市
人工光/エアコン 環境の人間によるコントロール
上記が一般化したときに起こる自然への回帰 ?
火の三大分化機能 煮炊き/暖房/照明 太古ではこれが未分化
ヨーロッパで照明の環境の大きく変わるのが18C 画期的な技術革新
フランソワ・アミ・アルガンによるランプの発明(1783)
彼はラヴォアジエに師事していた
これらは労働用照明の必要性という需要が背景にあった
つまり、これこそが、いつでもどこでもの労働を可能にした
アルガン式ランプ -> ガス灯 -> 白熱電球 (この間100年ほど)
近代エネルギーとしての電気は集約型の生産 = 法人資本主義を反映している
これは、自給型のエネルギーから供給型のエネルギーへという変化ということ
エジソンによる白熱電球の発明(1879)
しかし、エジソンはそれを発明したというよりは同時代の技術を融合させた感じ
フィラメントとして京都の竹を用いたのは有名な話
タングステンによるフィラメント(第一次大戦時前頃)