西原理恵子
ぼくんち (全3冊)
ガイド
書誌
author | 西原理恵子 |
publisher | 西原理恵子 |
year | 小学館 |
price | 1996-1998 |
isbn | 各\970+tax9-179271-5, 72-3, 73-1 |
目次
1 | 本文 |
履歴
editor | 唯野 |
1998.8 ? | 読了 |
1999.9.27 | 公開 |
2002.11.28 | 修正 |
経済的に貧しい、という意味でのスラムで暮らした経験はない。しかし、心が貧しい人たちの暮らすスラムにいたとき、ぼくはちょっと権力者だった。ようするに、集団のだれよりもゆがんだ性格だったのだ。
ぼくらは、卑屈で、ずるく、弱くて、甘ったれで、ナルシストだった。いつも甘えあい、傷つけあっていた。その中で、それぞれが自分なりの処世術を身につけていった。それは、幸せになるための方法ではなく、より不幸にならないための知恵だった。
この作品に登場するのは、経済的にも精神的にも貧しい人たちの住む町だ。人々はみんなとんでもなく不幸で、性格もゆがんでいる(ちゃんと分析すれば、精神分裂病や神経症、最近話題のアダルトチルドレンとかPTSDなどの精神疾患に分類されるのだろう)。
そんなかれらの処世術のひとつは、『悲しいときは笑う』だ。
だれにでも経験があると思うが、泣いていると悲劇の主人公になりきることができて、けっこう気持ちがいい。だから無意識のうちにそのままでいたくなってしまい、気がつくと必要以上に不幸でハードな人生をおくっていたりする。
そうならないためには、不幸なときでも笑わなければならない。または、笑顛になれるような行動を起こさなければならない。
なんて少しシリアスなことを書いてしまったけれど、この作品はあくまでギャグマンガだと思う。というより、ギャグマンガとして読める強さを持ちたいと思う。
自分は不幸だとか思っている、(愛すべき)おバカなあんたはすぐ読め!笑え!