橘玲
貧乏はお金持ち
「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
ガイド
書誌
author | 橘玲 |
publisher | 講談社+α文庫 |
year | 2011 |
price | 900+tax |
isbn | 978-4-06-281417-1 |
履歴
editor | 唯野 |
2019.1.29 | 読了 |
2019.1.29 | 公開 |
2019.2.6 | 修正 |
著者のマイクロ法人本で、終章にもあるようにマイクロ法人が持つ節税効果などをサラリーマンにも開放する目的で書かれた本。とはいえ、同じく後書きでは、現代人にとってファイナンシャルリテラシーが必須であるのと同時に、それは手段であって目的ではない(=ファイナンシャルリテラシーでお金に対する効率を高めることはできても稼ぐ手段そのものではない)ことにも触れられているが、全くその通りだと思う。
ただ私としては、個人が請負型で仕事をするのはコンビニ店主をはじめ、タクシー運転手などにも広まりつつあると思うが、現状の日本では元請側が圧倒的に有利である。元請から見れば社会保険などの費用もかからず、いつでも切れる、請負側から見れば怪我でもすれば何の保証もないという、責任だけが個人に転嫁されるいびつな業態にしかなっていないように感じている。
個人事業主側が弱い立場である以上、相応のバランスが取れないと、日本でのマイクロ法人の普及は難しいのではないかと思うのは私だけだろうか。とはいえ、本書の知識は独立する意思のないサラリーマンにとっても有用だろう。
そんなわけで、私にとっておもしろかったのはエンロンの破綻が、関係者の再就職に伴う関連する金融デリバティブ商品を業界に蔓延させる契機となり、それが結果的にサブプライムに至ったという経緯の部分だった。こういうものも突然に生まれたわけではなく、必然となる下地があったのだという解説には説得力を感じた。
抄録
4-5
世界はもともと理不尽なものだ。みんなの都合のいいように神さまがつくってくれたわけじゃない。そんな〝ディストピア〟で、一人ひとりが前向き(ポジティブ)に生きていく道を探さなきゃいけない。「生まれてきた意味」って、そういうことなないのかい ?
6
-/-この国では、いつのまにか(非正規ではない正社員としての:唯野注)社畜 = 奴隷こそが理想の人生になってしまったのだ。
7 cf.4
いま必要なのは、自由に生きることの素晴らしさをみんなが思い出すことだ。「安定」を得る代償に「自由」を売り渡すのはもうやめよう。そんなことをしたって、会社がつぶれてしまえば結局なにもかもなくなってしまうのだから。
ここで言いたいのは、「サラリーマンを辞めて独立しよう」とか、そういうどうでもいいことじゃない。一人ひとりが、「
自由に生きるための戦略 」を持たなきゃいけないっていうことだ。