Bill Karwin
SQLアンチパターン
ガイド
設計から実装まで広い工程を通して学べるSQLべからず集
書誌
author | Bill Karwin |
editor | 和田卓人・和田省二(監訳)、児島修(訳) |
publisher | オライリー・ジャパン |
year | 2013 |
price | 3200+tax |
isbn | 978-4-87311-589-4 |
履歴
editor | 唯野 |
2021.8.27 | 読了 |
2021.9.3 | 公開 |
書名の通りSQLにまつわるアンチパターンをまとめた本で、設計から実装・運用工程までを幅広く網羅している。もっとも内容的にはそれほど奇特なものはなく、ごくごく割と普通のことが書かれている。しかし、それらを包括的に理解することで設計・実装段階を問わず一貫性のあるポリシーを適用できるのが強みということになるのだと思う。
抄録
ix
私たちは失敗について、どれくらい知っているでしょうか。この業界の常として、成功事例は多く喧伝され、失敗事例には口がつぐまれます。しかし、成功事例よりも、むしろ失敗事例の方が一般性を持っているものです。-/-私たちは、痛い目を見てから学ぶのではなく、もっと積極的に他者の失敗から学ばなければなりません。
xii
私は、本書に出会う前から、本書に出てくる良くない事例に頻繁に遭遇してきました。
・参照制約を一切排したプロジェクト
・ER図を作らない(というよりも、エンティティを正しく切りだしていないためER図が作れない)プロジェクト
・ひとつのテーブルからSELECTするSQLのみを許し、後は手続言語により自前でゴリゴリ組むといった、SQLのおいしい部分を捨ててしまったプロジェクトなど、枚挙にいとまがありません。
ここまでひどくなくとも、RDB理論が集合論を基にしていること、集合を扱うためのSQL言語であることが正確には知られていないのが現状です。また「SQLを知らない(書いて動かしたことがない)RDB設計者」、「SQL言語が集合をデータとした宣言型言語であるのに手続型言語のように利用しようとするプログラマー」も後を絶ちません。これは憂慮すべき状況と言わざるを得ません。