ロバート・キヨサキ, シャロン・レクター
金持ち父さん、貧乏父さん
アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学
ガイド
書誌
author | ロバート・キヨサキ, シャロン・レクター |
editor | 白根美保子(訳) |
publisher | 筑摩書房 |
year | 2000 |
price | 1600+tax |
isbn | 480-86330-3 |
履歴
editor | 唯野 |
2009.3.22 | 読了 |
2018.10.17 | 公開 |
ベストセラーになった本なので余計な説明は不要だろう。約10年前に読んだままとなっていた本であるが、私も遅まきながらまじめに資産形成、それ以前に資産の海外運用(ETF)でもしようかと思って再読してみた。
内容的には、取り立てて目新しいという感じはしない。著者の言うファイナンシャル・インテリジェンスを磨けば金持ちになるのは難しくないということ、そのため一般の人も資産形成を積極的に行う(実際の行動に移す)べきだということ、お金がお金を生む仕組み作りに注力すべきだということ、そのため若くしてマイホームなどを手に入れるのはマイナスだということ、そして具体的なファイナンシャル・インテリジェンスを得るためのヒント――などが述べられているが、こう列記してみても印象は変わらない。
恐らく著者のいう「学校では教わらないお金の話」をほどよく噛み砕いて説明したのがベストセラーになった理由だと私は思うが、氏の紹介する方法論自体、不動産に偏りがちとなっており「普通の人が誰でも真似できるのか ?」と考えると疑問が残る。というよりもネット以前の時代での勝ち方という感が強い。それなら橘玲が説くようなネットを前提にした外貨運用の方が今の時代では自然に映る。
ただ、それでも学ぶこと、失敗も含めて行動に移すことの重要性など、お金の話をしながらお金以外のことにも通じる話の出てくるところが入門書として接しやすい。特に以下にも引用するがp238の一節などはすばらしい。そういう意味では、資産形成の入門書のひとつとして参照する分には今でも有効ではないかと思う。
世の中には、新しい考えが自分の考えと合わないと、あれこれ理屈をこね回したり必死で自説を弁護しようとする「知的」人たちがたくさんいる。このような人の頭の中にあるいわゆる「知性」は、傲慢さといっしょになって「無知」とまったく変わらないものになっている。高い教育を受けている、あるいは自分は頭がいいと思っている人の家計の内情が、まったくその知性を反映していないというのはよくあることだ。本当の意味で知的な人たちは新しい考え方を喜んで受け入れる。なぜなら、そういう人は新しい考え方がこれまでに蓄積された考え方といっしょになって強力な武器になることを知っているからだ。人の話に耳を傾けることは自分が話すことよりも大切だ。もしそうでないとしたら、神様は人間の口と耳の数を逆にしたはずだ。新しい考え方や可能性に耳を傾け、それを吸収することをせずに、自分の口ばかりで考えようとする人間がこの世には多すぎる。そういう人たちは質問をする代わりに自分の言いたいことをいってばかりいる。
抄録
9
いい教育を受け、いい成績をとるというのはもはや成功へのパスポートではない。それなのに、だれもそのことに気づいていない――子供以外はだれも。
17
「ふつうダウンサイジングが公表されると株価は上がるわ。企業が機械化や人員整理などによって人件費を削減すると市場はそれを好材料と見るのよ」
「その通りだ。で、株価が上がると私のようなに人間、つまり株主のふところにはまた金が入ってくる。これが異なるルールということなんだ。従業員は負け、企業のオーナーと投資家は勝ちというわけだ」
ロバートが説明してくれた違いは、雇用する側とされる側の違いだけでなく、自分の運命を自分でコントロールすることと、その操縦をだれかにゆだねてしまうことの違いでもあった。
18
世の中には二つのルールがある。金持ちが使っているルールと、残りの九十五パーセントの人が使っているもう一つのルールだ。家庭や学校で教えられているのは、この九十五パーセントが使っているルールだ。-/-