ジョージ・オーウェル
1984年
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	書誌
| author | ジョージ・オーウェル | 
| editor | 新庄哲夫(訳) | 
| publisher | ハヤカワ文庫 | 
| year | 1972 | 
| price | ? | 
| isbn | ? | 
履歴
| editor | 唯野 | 
| 1997.10.2x | 読了 | 
| 1998.5-6 ? | 公開 | 
| 2001.9.18 | 修正 | 
| 2020.2.25 | 文字化け修正 | 
まさしく衝撃的な一冊。オーウェルの名が本書によって不朽のものとなっただけのことはある。個人的にはある程度、話の進展の予想できてしまうようなところもなかったわけではないが、それを差し引いてなお、隙のない全体の構成、来るべくして来るラストシーン、危険な予見に満ちたストーリーといった完成度の高さは、20世紀を代表する文学作品のひとつとして間違いのない世辞になると思う。
いうまでもなく、「1984年」の中で繰り広げられるのは冷戦構造下を想定したかのような世界で繰り広げられる超管理社会の姿である。そこは、(1)誤った事実は瞬時にしてすべてが書き換えられながら真実は常に新しいひとつしか存在せず(それを疑問視することもない)(2)管理社会のアンチテーゼ/抵抗運動として流布しているはずのゴールデンスタインの兄弟同盟までが管理社会側の造反者を利用するための道具としてあらかじめ組み込まれ用意されていた存在なのであり(3)管理社会への造反者は究極的な従順/転向を手に入れることによって始めて死による解放が与えられる――そういう世界である。現在までの人類の歴史においてここまで意図的に計画/実現された管理社会はまだ存在していないが、特定の政治体制/指導者のもとにおいては似たような社会の存在していたことは今さら論を待たないところだ。オーウェルの先見性は、それを究極的な姿として描き切ることによって、我々に強烈な衝撃を与えることに成功しているわけであるが、まだそのような管理社会が正当性を獲得したためしのないのがせめてもの救いということになるのだろう。なぜなら、この世界はその管理社会が絶対に破綻しえないという点にこそ最大の恐怖があり、またそのための権力を維持するためにこそ管理の存在理由/目的が正当性を獲得しているからである。
抄録
24 偉大なる兄弟のスローガン
戦争は平和である
自由は屈従である
無知は力である
