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梁石日
タクシードライバー日誌

ガイド

書誌

author梁石日
publisherちくま文庫
year1986
price360
isbn480-02090-X

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2001.4.8読了
2001.11.11公開
2002.1.6修正

映画「月はどっちに出ている」にもなった作品の原作。梁石日には他にもタクシーを扱った著作があるが、個人的にもこれは以前から読みたいと思っていた本のひとつだった。内容は日記風となっており、その中でタクシー運転手から見た日常と世相というものが綴られている。割と自分たちの生活のそばにあるにもかかわらず、意外と知らないもので興味深く読んだ。個人的には、タクシー運転手に限らず、自分のよく知らない職業、そしてそういう職業からだとよく見える世の中の一面というものはまだまだあるはずだし、その一端を知ることのできた点でよかったと思う。職業に貴賎なしというのは、こういう意味では全く正しいと思った。

抄録

21/23-25/46/48/51

二種免許の取得費用はもちろん会社持ちだが、実際には免許を取っても一年以内に 2/3 が転職したり他社へ移ってしまう。それで慢性的な人手不足が起こることになる。タクシーの運転では自家用車と異なり複眼的な運転(客を探しながら車間距離も取る)が求められる。そして仕事の中でのわずかな仮眠がその後の営業での体力(売上)に直結する。あらゆる場所が出発点となるため、要領を得ない新人は車庫まで戻って行き直すようなことをやる。東京の道路は蜘蛛の巣状をしている。地名の間違い、往路とは逆転する風景によるトラブルもある。

28-29

春闘があっても(電車が走らないから)忙しいのは朝だけで、その上大渋滞のため稼動率が上がらない。遠距離の客がそれを見越して有給休暇したり会社に泊まるので逆に営収が激減する。

38/55/63

タクシーは同じ旅客業であってもバスレーンを使うことができない。近代化センターという名の取り締り。更には、タクシーを狙い撃ちにしたネズミ捕りがある。スピード違反せずに営業成績を上げるのは無理という事情を悪用しているともいえる。