森本哲郎
日本語根ほり葉ほり
ガイド
書誌
author | 森本哲郎 |
publisher | 新潮文庫 |
year | 1996 |
price | 400+tax |
isbn | 4-10-107315-5 |
履歴
editor | 唯野 |
?.9.22 | 読了 |
2012.4.16 | 公開 |
2020.2.25 | 文字化け修正 |
同じ著者の『日本語 表と裏』の姉妹編になる本で、いずれもかなーり昔に読んだままとなっていたものである。再読してみると、初めて読んだときのような感銘深さはない感じだが、それでも鋭い指摘が多い。日本語にまつわる本は最近でも少なくはないが、この二書は外れでない方だと思う。
抄録
5
というわけで、私はこのエッセイを、専らそれに焦点を合わせてつづってみた。だから、本書の主眼は語源の言語学的検証ではなく、日本人の言葉づかい、表現方法を通じて、日本的性格を浮き彫りにしたいという点にある。いうなら、本書を前著『日本語 表と裏』の姉妹編として読んでいただきたい、と思っている。
22
端的にいうなら、日本人は、よほどのことがない限り、「けじめ」に重きをおかず、すべて、ものごとをあいまいにして、それで
何となく すませてきた、ということなのではあるまいか。
23
もちろん、普通の話し合いに、哲学や法律論議のような厳密な定義は、求むべくもない。けれど、あまりに漠然とした言葉を投げ合い、それで、互いに話が通じているような錯覚に陥っている情景は、どう考えても喜劇的である。だが、日本人は、厳密な定義から出発することが苦手であり、また、そんなことを好まない。そこで、すべてのコミュニケーションが上滑りで終わり、一知半解のまま処理されてしまうのである。