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山田章博
ロードス島戦記 (全2冊)
ファリスの聖女

ガイド

書誌

author山田章博
editor水野良(原作)
publisher角川書店
year2001
price1,100+980
isbn4-853418-1 (I巻)

目次

1本文

履歴

editor唯野
2001.11.0x読了
2002.2.4公開
2002.7.4修正
2010.2.28修正
2020.2.25文字化け修正

2巻p.103ロードス島戦記のうち「ファリスの聖女」を扱ったもので、これは新装版ということらしい。実は私も高校時代に人に薦められて文庫本の最初のシリーズ 7 冊は読んだのだが、肩透かしを食らったというか「どうも自分の考えているファンタジーとは違うなあ」というのが正直な感想であった。そのため人気の程がよく分からず、結局、後続の作品には接していない。しかし、山田画伯のロードス島ならば(確か文庫でもカバーなどを担当しているはず。まあ別にロードス島でなくてもこの人の本なら買うけど :-))――ということで買った本である。内容は申し分ないし堪能させてもらったが、それでも考えてみれば「これも山田章博だから買ったのであって、他の人なら読んでないだろうな...」というのが正直なところだった。

しかし、先日、学生時代の師匠とでこの点を議論し、いくつか結論が出たので紹介しておこうと思う。まず私がなるほどなと思ったのは、そもそもロードス島というものは小説が元祖なのではなく、TRPG なんかの流れによる影響の方が大きいという点だ。私のような本おたくは、メディアミックスが当り前の時代にあってなお、そのオリジナルは活字だろうなどという変な先入観へ陥りがちなだけに、なおさら説得力がある。なぜなら、確かにこの本では軍隊同士の戦争というものがない。絶対に主人公たちはパーティという枠内での行動だし、だからこそボスキャラ(こんな語彙しかないというのが疎いということです)相手でもパーティ対パーティという構図になるのだということである。

加えて、そういうルーツを持つがゆえのコアなファンがいるのだということ。そして時代の流れでもあるがそれがメディアミックスに展開されたこと、といった要因が重なるわけだ。そうやって考えてみると、ロードス島というのはファンタジーとしてのすごさよりもサブカルとしてのすごさという見方をした方が興味深い感じがする。つまり、仕掛け人の側もコアなユーザの側もそれを承知の上ということで、それ(つまりは一種のルール)の分かっていない方が野暮というようなイメージである。

# ちなみに画像のお人が魔神王(デーモンロード)サマである !