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野田知佑
ぼくの還る川

ガイド

相変わらずゆったりできる本

書誌

author野田知佑
publisher新潮文庫
year2003
price552+tax
isbn4-10-141013-5

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2021.6.28読了
2021.7.4公開

というわけで椎名誠に引き続き野田知佑も久しぶりに読んだ。いつ読んでもこの人の本はおもしろいし、読んでいる間は時間の流れがゆっくりになったかのように思えるのがよい。そのため、なるべく余裕がないようなときこそ読むようにしているつもりなのだが、本当はもっと読みたいときに読むべきなのだろう。

抄録

13

釣り竿を手にして目の前に立っている少年が、ぼくとは全く違った世界にいることに気づいた。この子たちは一人で静かに釣りをしたこともなく、また、これからもしないのであろう。いつも仲間と群れて遊び、仲間と同じことをし、同じように考えて生きるのであろう。

バス釣りをする人たちには普通の釣り師が持っている自然への愛着心が欠けている。やらずぶったくり、釣れさえすればいい、といったムードがある。-/-

20

ぼくが鹿児島まで流れてきたのは、こういう川で遊ぶためだった。この辺境の地に来ればいい川はたくさんあるだろうと思っていたのだが、大いに見当がはずれた。県内でも大隈半島は過疎で知られている。これだけ人がいなければさぞかし川もきれいだろうと思い、流域に人家の少ない川を地図で選び行ってみると、予想に反して見事に川が改修、護岸、直線化されていた。

日本では人が少ない所程、川の改修、破壊が激しい。北海道の原野の三面張り護岸と同じだ。人がいなければ河川工事はやりやすいのだ。それだけ監視の目がないのだから。

30

川を行く者の利点は、陸から近寄れない川のいい場所に行けることだ。