和田登
松代大本営
ガイド
松代大本営を分かりやすく説明
書誌
| author | 和田登 |
| publisher | 岩波ブックレット |
| year | 1991 |
| price | 350 |
| isbn | 0-003147-3 |
履歴
| editor | 唯野 |
| 2026.1.21 | 読了 |
| 2026.1.25 | 公開 |
読むと分かるのだが、1990年に松代大本営の公開箇所が広がり見学者も増えた流れを受けて刊行された本のようである。そのため岩波ブックレットであるからページ数が限られることもあり、概要をまとめた感じとなっており、むしろ見学のための副読本というべきかもしれない。
もっとも松代大本営に三種の神器のための神殿をわざわざ別に作っていたとまでは知らなかったので、そういう辺りは素直に勉強になった。当然ながら朝鮮人労働者の待遇などにも触れているが、著者自身のスタンスとしても単なる被害者・加害者ではない人間として当たり前の立場というのは、単純な戦争批判だけで終わらないための重要な立ち位置であると思う。
抄録
5
話は脇道にそれるが、ここではっきりさせておきたいことは、日本で働いていた朝鮮人労務者には、大きく分けて二つの境遇があったことである。
一つは日本の朝鮮支配により土地の収奪にあったりして生活が苦しくなるなどして、日本に行けばいい仕事にありつけるらしいと、自主渡航というかたちで日本にやってきた人たち。
もう一つは強制連行で、平穏な日常生活を営んでいたころが突然、どれい狩りのように無理やりトラックなどに乗せられて連れてこられた人たちである。両社とも主な働きの場は、ダムの建設工事だとか炭鉱。あるいは鉄道線路工事やトンネル掘りの現場等々、苦しい労働を必要とする仕事場であった。そして、結果的には一部の者を除いて、自主渡航にしろ強制連行にしろ、労働条件の過酷さはたいして変わりがなかった。-/-
10-11
日本軍が、死守していた太平洋のトラック島が、アメリカ軍によって全滅に追いやられた前後の頃、天皇の住まい(皇居)をはじめ、大本営をどこかに移さなければ、日本はたいへんなことになると、熱心に説く軍人がいた。一九四四(昭和一九)年、二月頃。その話を力説したのは、陸軍省内部の人事課にいた井田(現姓岩田)正孝少佐であった。
