ル=グウィン
ゲド戦記 IV 帰還 最後の書
ガイド
書誌
author | ル=グウィン |
publisher | 岩波書店 |
year | 1993 |
price | 1800+tax |
isbn | 4-00-115529-X |
履歴
editor | 唯野 |
?.9.17 | 読了 |
2015.2.1 | 公開 |
副題に最後の書とあるが、その後かなりの時間を経て『アースシーの風』と『外伝』が刊行されたので、正確には最終巻ではないのだが、私が当時セットで買ったときにも、そうだったのだから仕方がない。そういう意味でもゲド戦記は、やっぱり少し違っている。
それはともあれ、3巻での真の主人公がアレンであったように、4巻でのそれはテナー、もしくはテルーとなる。3巻から16年後に発表された本作では、魔法使いでさえもなくなってしまったゲドが最後にどこで安住を得るのか... また、その危機を救うテナーとは何なのか... といったことが語られるが、その全体を知るにはやはり次の巻が必要だったということになるのだと思う。むろん、これだけでも十分の読み応えはありますが。
主要登場人物
ゴハ | ヒウチイシの妻 |
ヒバリ | ゴハの友人 |
テルー | やけどを負った子供 |
オジオン(アイハル) | ゲドの師である魔法使い |
コケ | 女まじない師 |
テナー | 元アチュアンの巫女、詳細は第2巻 |
ゲド | 竜に運ばれてきた元魔法使い |
ヘイク | テルーの父 |
ツタ | 女まじない師 |
アスペン | ローク出身の魔法使い cf.330 |
抄録
24
名まえの話をしたときのこと、憶えてる ? 子どもには子ども用の名まえがつけられるって言ったでしょ。それから、誰にもふだん使われる呼び名があるって。もひとつあだ名がついていることもあるけど。おまえもこれからいろんな人にいろんな名まえで呼ばれるだろうけど、わたしにはおまえはテルーだよ。でも、もう少し大きくなったら、たぶんハード語の呼び名がつくだろうし、一人前の女になるときには、もしうまくいけば、ちゃんとした正式の名まえがもらえるかもしれない。魔法使いか、賢人か、とにかく本物の力を持つ人からね。だって、それこそがそういう人たちの力であり、技なんだからね、名まえをつけるってことが。でも、そういう人にもらった名まえはぜったい他人(ひと)に話しちゃいけないよ。なぜって、その真(まこと)の名まえのなかにお前という人間がこめられているんだから。真の名まえは、本人には強さとなり力となるんだけど、他人にとっては、危険な重荷でしかなくてね。だから、それをもらすのはいよいよのとき、しかもいちばん信頼のおける人だけにってことも、あの時、離したよね。だけど、賢人と呼ばれるすぐれた魔法使いだと、名まえという名まえはみんなわかっているから、こちらが離さなくてもわhかってしまうこともある。