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吉田ルイ子
ハーレムの熱い日々
BLACK IS BEAUTIFUL

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書誌

author吉田ルイ子
publisher吉田ルイ子
year講談社文庫
price1979
isbn6-134099-9

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
1996.autumn読了
1997.3.6公開
1999.10.30修正

文章の古いのがタマにキズであるが、70年代のアメリカ論/人種差別に関する文章としては出色の1冊だろう。偽善者ぶって正論だけを説く本でもなければ、差別の実態を報告するだけで何ら建設的でない本とも違う。つまりは非常に生活感のあるルポルタージュとしても読むことのできる内容に仕上がっている。例えば、著者が黒人に始めて手を差し伸べられて握手する手を出せなかったという下りなどは、非常に差別意識の本質を暴いていると思う。或いは、いくらアメリカのリベラリストであろうとも、差別感情をああも簡単に現してしまうあたり。これなどもかえって真実味があって、うなずいてしまう箇所だった。

本書は以外と古本屋では安値で転がっている本なので、とてもお買い得だと思う。吉田ルイ子の本の中でも最もおすすめできる1冊である。

それにしても、(最近こういった本が多いせいか)やはり読了してから時間をおいてしまうのはよくないことだと感じて仕方がない。今更のように思い返してみたところで、なかなか内容は思い出せないし、一読した際に思ったであろう種々の感情も沸き上がらない。読書にも鮮度があるのだと感じることしきりである。

抄録

75

黒人自身が自分の色を劣等感の目で見ていたことへのショック。

80

アメリカの黒人ジャズマンは日本で思われているほど裕福ではない。やはり、そこには人種差別の姿が見え隠れする。

84/85

日本人のインテリは大学までの教育で、論理的には差別の悪いことを理解している人は多い。しかし、実際には観念に過ぎないため差別をしている人間がほとんどである。