道原かつみ
銀河英雄伝説 第1部 (全11冊)
ガイド
書誌
author | 道原かつみ |
editor | 田中芳樹(原作) |
publisher | CHARA COMICS |
year | 1995-2000 |
price | 各\590程度 |
isbn | 19-960006-X (1巻) |
目次
1 | 本文 |
履歴
editor | 唯野 |
2000.spring | 読了 |
200.9.10 | 公開 |
2002.11.28 | 修正 |
田中芳樹原作の有名な小説を漫画にしたもの。著者は基本的に SF チックな作品の多い人だが、恐らくはオリジナル作よりもこの作品で最も著名といってよいだろう。銀英伝、もっといえば田中芳樹の好きな人というのは結構いるもので、私の世代などでは必ず周りにひとりやふたりはいるといった感じがする。とはいえ、私はほとんど本書の原作も含めて読んだことがないので原作との比較などはできない。まあ、昨今のこの手の作品は OVA やら何やらとマルチメディアに展開されるのが常であるから、漫画だけから語っても片手落ちのそしりを免れえないのは承知の上で、それでも簡単に感想を書いておこうと思う。
ストーリーは基本的に三国志に近い。舞台が宇宙という違いはあるものの三勢力の鼎立というものを前提にしている辺りを見ても似ている。そして、ネタ的にも三国志でお目にかかったお話が多い気がする。貴族連合がローエングラムに敗れていく展開だけを見ても、想像通りにしか話が進まなかったからである。恐らく三国志よりも先に本作の方に接していれば、こんな感想を抱くこともなくおもしろかったのだろうが、いかんせん順序の問題というべきだろうか。
それで思い出したのだが、三国志をめぐるおもしろい話として史実と虚構の割合が 7:3 だというものがある。私も両者のバランスがこれくらいのときに、物語は最もおもしろくなるのではないかと思っているが、その伝でいくとこの作品の場合、フィクションの割合が強すぎるという感じがしなくもない。もちろん、この手の例外もたくさんあるのだろうが、ひとつのものさしとはいえるように思う。おもしろくなくはない、しかし特別におもしろいわけではない...という印象の強い本だった。