細野不二彦
電波の城 全23巻
ガイド
著者には珍しい長編
書誌
| author | 細野不二彦 |
| publisher | 小学館 |
| year | 2014 (23巻) |
| price | 505+tax (23巻) |
| isbn | 978-4-09-186307-2 (23巻) |
履歴
| editor | 唯野 |
| ? | 読了 |
| 2026.3.15 | 公開 |
少し前に『Gallery Fake』を取り上げたので、こちらも紹介しておこうと思う。というのも、本作は著者には珍しい完全な長編だからである。
刊行時期が部分的に重なっていた『ダブル・フェイス』もどちらかといえば、ギャラリー・フェイクと同じ一話完結タイプなので、そういう意味でも貴重である。すごくはしょっていうと、TVキャスターを目指す主人公には暗い過去があり、それが本人だけでなく周りの人間をも巻き込んでいく...というのがストーリーである。既にネットが力を持ち始めていた時代ゆえのTVの限界などにも言及されていくが、個人的に言わせてもらうとラストはかなり必然というか予期した通りの結末であった。後半に入ると三人称の追想が増えていくからであり、特に20巻辺りからは全てがそこへ向けて収斂していく一種の不気味さをはらんだ疾走感がある。もちろん、本作の最後が主人公にとって意味のあることだったのかどうかは各々の読者の判断に委ねるしかない。また、少し読み返せば、それを漂わせる歴史上の人物の伏線などにも抜かりはないが、ストーリー的に詰めの甘さを感じなくもない。
とはいえ、タイプは全く異なるものの、ジャーナリストが主人公の真の姿に迫るという意味では『ダブル・フェイス』も共通している。またその過程が重要な伏線にもなっているのも同様である。しかしながら、それこそ『ダブル・フェイス』ではマジック・奇術を生業とする主人公はむろんのこと、ほとんどの登場人物、もっといえば『電波の城』や『ギャラリー・フェイク』の登場人物にも、いってみれば表と裏の「ダブル・フェイス」(2つの顔)がある。現代人がペルソナ(仮面)なしでは生きられないのが事実だとすれば、題材を変えたとしても、一見華やかに見える世界が垣間見せる、そうではない二面性の追求こそ、著者の共通部分と言えるのかもしれない。
抄録
17巻 p89

以下は、『ダブル・フェイス』からの引用。ちなみに『ダブル・フェイス』の13巻p64にはギャラリー・フェイクも登場します。活動歴の長い作家だからできる嬉しいファンサービスですね。

