浦沢直樹
MONSTER (全18冊)
ガイド
書誌
author | 浦沢直樹 |
publisher | 小学館 |
year | 1995-2002 |
price | 552+tax (18巻) |
isbn | 9-185278-5 (18巻) |
目次
1 | 本文 |
履歴
editor | 唯野 |
2002.3.? | 読了 |
2002.7.1 | 公開 |
2007.1.30 | 修正 |
2020.2.25 | 文字化け修正 |
かなり方々において話題となった作品。しかし、個人的には後半をほとんど細切れに読んでいたため(新刊が出るたびにその巻だけ読んでいたということ)、話のつながりがいまいち希薄で最後も「あー、終ったのね」という感じだった。多分、全体をまとめて読めばもっとおもしろかったろうと思うのだが(浦沢直樹の『オリジナル』掲載作品には外れがないので)、そういう意味ではちょっともったいない感じのした本だった。(実際、書店などだと 10 巻過ぎ辺りから人気に火が付いたらしいが、そのため私としては初めの方が印象に残っている。)
本当に恐ろしいものとは何なのか ? それは悪魔のような人間なのではなくて、身近な人間が簡単に悪魔的になりえるその瞬間、即ち我々自身の変貌の側面なのではないか――というのが、この本の投げかけるメッセージのひとつだと私は思う。そして、そういうことを伏線的に伝えていく、そのさりげなさが秀逸だ。いうまでもなく、この手のメッセージは直接的にいうよりも、距離を置いた方がホラーなどと冠される作品には似合っている。もっといえば、(既にどこかで書いたような気もするが)本当の恐怖は惨劇そのものよりも――惨劇を予感させる読み手の想像力の中でそれが具体的なビジョンにつながるとき――だからである。
まあ、時間があればまとめて読み返したいが、以前の巻が田舎のダンボールのどこに埋れているのか全く不明なので、実質的にしばらくは断念せざるを得なさそうである。なお、いうまでもなく私のお気に入りが、キーボードがあろうとなかろうと片手でカタカタと鳴らせられるルンゲ警部なのはいうまでもない。