殿山泰司
バカな役者め !!
ガイド
書誌
author | 殿山泰司 |
publisher | ちくま文庫 |
year | 2001 |
price | 620 |
isbn | 480-03621-0 |
履歴
editor | 唯野 |
2001.12.25 | 読了 |
2002.1.13 | 公開 |
2002.1.13 | 修正 |
殿山泰司初の小説集という触れこみの本。しかし、個人的にはエッセイの延長線上という印象の方が強く、あまり小説っぽくない小説という感じだった。むろん、相変わらずのドタバタ調文体は健在なので、その点の心配はいらない。
一方、これで文庫化された殿山泰司の本は 6 冊目となり「こんなに本を書いていたのか」という意味でもびっくりである。それだけ既刊書の売れ行きが好調なのだろう。私は元々、雑誌「ダカーポ」の何かの特集で絶版だけどおもしろい本として『三文役者あなあきい伝』を知り、ちくま文庫で復刻されてから接したのだが、この本は私も非常におすすめである。(そういえば、まだ読書ノートにしてないが...)恐らく、この本を読んで殿山文体の魅力につかれ「他の本も読んでいる」という人が多いのではないかと思う。
抄録
26-27
女はコワイにきまってるよ、今ごろ何を言ってんだい親ビン、女はね、火事や地震や機動隊よりもオソロシインだよ、そんなこと分っているじゃねえか。
申訳ない、許してくれ !!
87-88
向うへ行ってしまった。気持の悪い。ヤマさんかと言われたときチガイマスと言えばよかった。このクソ暑いのに背広なんか着やがってアホンダラ。オレの考えによると、狂女のオソソを思わせるようなニッポンの夏は、男はみんなダボシャツとステテコにしたらどうかね。つまりヤアサマスタイルやね。あれは涼しくていいよ。ヤアサマとカタギの区別がつかなくなるけどね。一億総ヤアサマでもええがな。ダボシャツ姿の国会議事堂なんてのはピッタリ似合うと思うがね。このまえ京都で新聞を見てたら、ニッポンへアソビに来たフランス人が、一日中ムシ風呂の中に入ってるが如きである、と、その筆者にこぼしたというコラムがあったけど、ニッポンの夏は地球上で最低なんだぞ。こんな季節にアソビに来たフランス野郎がバカなんだ。バカフラだオマエは。