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殿山泰司
三文役者のニッポン日記

ガイド

書誌

author殿山泰司
publisherちくま文庫
year2001
price880
isbn480-03680-6

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2002.2.28読了
2002.4.21公開
2002.8.22修正
2020.2.25文字化け修正

というわけで殿山泰司氏の本である。既に個人として書きたいことは書いているつもりがするので、その点で今更繰り返そうとは思わない。但し、本書は今までに読んできた本の中で、最も社会批判色の強い内容となっている。その語り口は同じなのだが、出現頻度が違うのである。

むろん、殿山節で主張される事柄というのは別にそう特別なことというわけではない。むしろ当り前に過ぎないことばかりなのだが、氏がそれを書いた時期と現在とを比べてみて、そのうちのどれくらいが解決されているのか一考することには意味がある。私は本当に社会を変えるというのであれば、氏のような堅苦しさを感じさせないかたちでの警鐘というものが非常に重要だと考えるのだが、殿山氏の本がこういうかたちで復刊されるという事象そのものが、その答えを端的に示しているというべきなのだろう。

抄録

17

ベトナムの人たちも食事には時間をかけて、ゆっくりと楽しみながら食べる。オレは思うんだけどね、アジアでだな、生活の中で食事というものを味気なく、サッサと片づけてしまうのはニッポンだけではないかね。

27

人間ハナ、生マレタトコロデ家族ト住ムノガ一番イイ。

オレはハッとしてアメリカの顔を見た。当たり前の言葉である。しかし、サイゴンで聞くこの兵士の言葉は、あまりにも常識的にオレの胸を打つ。

だけどアメリカの友よ。オレはな、生まれたところで家族といっしょに住むのを、幸せだと思ってない人間なんだ。

30

オレは発見したよ。ドコの国でも男より女が強いということをだ。情けないけど事実である。そうなれば世界中の男が団結して女に対抗するより仕様がない。しかしスケベエな男が多くて、すぐ裏切りやがるからな。ああイヤダイヤダ。

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