永田昌民、杉本薫
大きな暮らしができる小さな家
ガイド
「小さな家」本の古典
書誌
author | 永田昌民、杉本薫 |
publisher | オーエス出版 |
year | 2003 |
price | 1800+tax |
isbn | 978-4-7573-0201-0 |
履歴
editor | 唯野 |
2023.2.3 | 読了 |
2023.3.29 | 公開 |
吉村順三の弟子である著者の家づくりのスタイルを自邸を含めて紹介した本。もっとも本人がというよりは共著者である杉本氏の聞き取りが主体となっており、この辺にも著者のスタイルが現れているともいえる。
ここで触れられている小さな家に関するポイントは今となってはセオリーといっていいものだが、本書が20年前に刊行されたことを考えると、現在の小さくていい家の流れを作ったひとつの源泉ともいえるように思う。
そういう意味では目新しさこそないものの理解しやすい本だと思う。
抄録
6
「家」とは弱い部分から風化してゆくものなのです。
12
永田……住宅は建築のなかでいえば主流ではないんですね。名を成す人は公共建築を手がけて世に出るパターンが多いんです。-/-
13
永田……住宅はアートとはちょっと違うって思っています。結果としてやっぱりひとつの仕事でしょ。「建築家」って呼ばれるのもあまり好きじゃなくて、僕は「設計屋」だと思っています。たとえば、建築になんのクセもなくて、「いいね。これ誰の設計 ?」なんていわれるのが理想かな。
永田……きっちりつくりこんで個性を主張する建築もありますが、いい悪いは別にして、僕は人がいてはじめて建物が成立するというのがいいと思っています。アルヴァ・アアルトの「文化の家」を見てきた人が、「人がいないと殺風景でどうってことない」という。でも、「コンサートに人が集まってくるとたちまち建物が映え、人が映えてくる」と、その話を聞いたとき、あっ、これはすごいと思いました。建築ってそういうものだと確信しました。