杉本良夫
日本人をやめる方法
ガイド
書誌
author | 杉本良夫 |
publisher | ちくま文庫 |
year | 1993 |
price | 650 |
isbn | 480-02776-9 |
履歴
editor | 唯野 |
1999.3.21 | 読了 |
1999.3.24 | 公開 |
1999.10.30 | 修正 |
2020.2.25 | 文字化け修正 |
単行本の発売時には結構、話題を集めた本。おもしろそうだったので文庫になるのを待っていた一冊であった。内容は、国に縛られない「越境人間」としての在り方を考察したもので、必ずしも著者の本意は「日本から出ること」という一面的なものではない。そういう国民国家的な発想をも超えて自由になろう――という意味での「異論」の提出という面が強いからである。だから、本書はいろいろな意味における「脱常識」があって非常におもしろい。それゆえ、本書を読んでおもしろいと思うかどうかは「差異をおもしろいと感じるかどうか」と非常に近い部分で関係するように思う。そこさえ乗り越えられるのであれば、究極の「越境」もなかなか身近なもとして感じられるのではないだろうか。
抄録
11-12/66
新聞社から見える日本的な面の縮図的光景。上下関係の厳密な定義、同僚,同輩の集団圧力(休みが取れないetc..)、公私混同が問題とならない(記者クラブは税金によって賄われている)、二重帳簿が当たり前、個人のプライバシーの領域に簡単に踏み込んでしまう、男尊女卑のひどさ――など。
記者クラブは特権的=排他的であり、結果的にエリート意識を生んでいる。
16
外国語の習得は20代前半までがひとつのヤマ。海外にいくのであれば自費で、そして日本人とは隔絶した生活を送るのがよい。
18-19
日本人論はアメリカとの差異にばかり着目していて、逆に類似性への注目が少ない。例えば、日米以外を視野に入れると選挙の投票が共に義務ではない(豪では義務)、労組の組織率が低い(豪では高い)、他国への膨張主義的側面を持つ(豪にはあまりない)などがあるにもかかわらず...である。