岡野玲子(最近だと『陰陽師』で有名な人、まだ未読ですが)の最初の単行本の復刻本。副題にもなっている Missing Link とは猿と人との進化の間の断絶のことだが、著者自身の後書きによると、そこに魔術師を置いたのが本作ということらしい。ただ、読み進めるのに割と予備知識(登場人物たちの相関関係)を要するところがあって、一読しただけではちょっと分かりづらいところがあった。全体としては魔術師たちが自分たちのいない世界を導く、その過程を追ったものになっており、世界が自然(ナチュラル)に至るというストーリー展開はありきたりなものの、物語の中での魔術師の果たす役割などでは斬新さがあってよかった。そんなせいもあってかどうかは知らないが、著者はこの本そのものが「消え去って欲しかった」と記している。しかし、どういうかたちであれ著者の本に接するきっかけとはなったわけであるから、これもひとつの縁には違いあるまい。