ホーム > 読んだ

藤原新也
丸亀日記

ガイド

書誌

author藤原新也
publisher朝日文庫
year1993
price480
isbn4-02-264011-1

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2008.1.18読了
2010.5.18公開
2020.2.25文字化け修正

氏の旅行記というよりはエッセイである。評論家っぽくないところがいいとは思うのだが、やはりそうならざるを得ないというか、そういうのを避けようとしているけれどもそうなってしまっているというか、そんな雰囲気の強い本である。うまくいえないのだが、そういう本。

抄録

17-18

近世ヨーロッパの莫大な富の蓄積の中からバカンス(レジャーではない)という言葉が生まれたように、限られた時を生きる生き物にとって真の優雅とは無為な時間そのものを愛で楽しむことである。

36

けもの道は山野などの自然の中にあるものとも限らない。それをけもの道と呼ぶべきかどうかわからないが、私は都市の中にもけもの道があると思っている。もし人間をけものの類に数えるとするなら、誰でも自分の胸に手を当てて考えればわかることだが、人が街を歩くとき、その行動範囲及びルートは案外固定しているものだ。人は住み慣れた街の中におのれのけもの道を作っているのである。

66 cf.205

つまり、ある風土の中においては、人間これ全身刺となり、多大な攻撃精神とエネルギーを持つことが悟れる者として崇められることもあるのだ。