かつて SF という物語は「空想科学小説」などと呼ばれていた。私は「サイエンス・フィクション」と「空想科学小説」には明らかな違いがあると思っている人間のひとりであるが、鶴田謙二の作品は間違いなく、この論理の範囲内において「空想科学漫画」なのだと思う。まかり間違っても「サイエンス・フィクション漫画」ではないのであって、この違いが重要だと思うのだ。これは作中にヴェルヌが出てくるからばかりではない。要は「リアルであること」と「おもしろいこと」は全く別なのだということに過ぎない。ゆえに、そう思える人であれば誰にでもおすすめである。