紀田純一郎
現代人の読書
本のある生活
ガイド
書誌
author | 紀田純一郎 |
publisher | 三一新書 |
year | 1964 |
price | 773 |
isbn | 0200-640435-2726 |
履歴
editor | 唯野 |
? | 読了 |
2012.5.3 | 公開 |
2020.2.25 | 文字化け修正 |
現代人の~と銘打ってはいるが、何しろ1960年代の本であるからかなり古い。私自身が読んだのもかなり昔のことだが、著者の論旨も古典的な教養主義の否定など、内容的にも古すぎる。まあ、 岩波文庫の「読書子に寄す」が三木清の起草とは知らなかったが(cf.75)、さすがにPC全盛の今の時代では得るところも少なかった。
抄録
13
ヤスパースは大衆を定義して「実存なき現存、信仰なき迷信」と言った。この徹底して絶望的な現代の精神的状況を救うに、いかなるオピニオン・リーダーたりとも、さしあたり個人の自覚を促すこと以外に、何が出来るというのであろう。
15
読むべき本というのが、そのうち生まれてきた。これは背後に厖大な<読むべからざる本>が存在しはじめたことを意味している。
17 cf.18
-/-ラスキンがとっくに指摘しているように、現代の社会では読書の規律よりも、それ以前の規律が必要になっているのである。この期に及んでなお読書による人格形成を標榜するなら、それは「全体」を救うことではなく、「一人一人」を救うより方法がないのは自明の理である。-/-