柴田連三郎
眠狂四郎無頼控 (全6冊)
ガイド
書誌
author | 柴田連三郎 |
publisher | 新潮文庫 |
year | 1963- |
price | 440+tax |
isbn | 4-10-1150060 |
履歴
editor | 唯野 |
? | 読了 |
2018.3.5 | 公開 |
全6巻中の2巻までしか読んでいないが、とりあえず読んだ分を読書ノートとして上げておく。眠狂四郎シリーズはいくつか読んでいるが発表順とは無関係に接しているせいか、どうも展開として前後していると感じることもあり、それでこのシリーズも読むのが途中で止まってしまっている...
# ま、単なる言い訳ですな。
抄録(1巻)
29-30
脇門の潜戸を押して一歩入ってみて、狂四郎は、五百坪以上と測った。旗本の中でも上位にある者の住いである。屋敷坪数は、食禄の高をもって標準とした時代である。
32
庭番――すなわち隠密であった。特殊の職掌の故に、別外として、左手に竹箒を執って、御籠台(ろうだい)下(江戸城大奥と中奥の中間)で下座して台命(たいめい)を拝したので、この名称があった。勘定所で金をもらい、大丸呉服店の奥の間で、備付けの農・商・工・僧侶・売占(ばいぼく)等の衣裳で身を変えて、何処かへ出て行き、妻子眷族から行方を絶った。中道で発覚して非業の最期を遂げても、その報せは無かった。
45
それにしても、大奥の医師が、切支丹門徒であったとは、おそれ入ったというものである。室矢醇堂というのが、医師の名であった。名医と称されていたが、これは、ひそかに伴天連より西洋医学を修めた証拠にほかなるまい。