チャールズ・ラム
オデッセウスの冒険
ガイド
書誌
author | チャールズ・ラム |
editor | 船木裕(訳) |
publisher | ちくま文庫 |
year | 1988 |
price | 340 |
isbn | 480-02279-1 |
履歴
editor | 唯野 |
2000.8.30 | 読了 |
2000.9.3 | 公開 |
2001.1.14 | 修正 |
ホメロスの一大叙事詩『オデュッセイア』を『シェイクスピア物語』で知られるチャールズ・ラムが同様に読みやすくしたもの。要するに一種の抄本なのであるが、欧米での評価は今もって高いようである。原典である『オデュッセイア』はトロイ戦争を描いた『イーリアス』の続編で、主人公オデッセウス(英語のユリシーズ)がこの戦争の後に故郷であるギリシャのイタカの国へ戻るまでを扱っている。(ちなみに『イーリアス』の方は、有名なヘラ、アテナ、アフロディテの 3 女神が美を競う話に端を発し、それに力添えしてスパルタ王妃を連れ去ったトロイ王を、怒ったギリシャ軍がはるばる遠征してオデッセウスの木馬の計などで破るといったお話。)
本来ならちゃんと原典を読むべきなのだろうが、確かに原典は長いので抄本で済ませてしまったという次第。また、チャールズ・ラムの本を読んだことがなかったというのも大きな理由のひとつであった。感想としては、物語そのそののおもしろさは疑わないものの、人間は神の気紛れに翻弄される存在としてしか描かれていないような印象が強く残った気がする。(それが悪いわけではありませんが。)また、話がメジャー過ぎるためか、どうも以前に読んだような見覚えのある箇所が多く困ってしまった。まあ、それを忘れている私がしょーもないのだろう ^^;; それゆえ、今度は忘れないようにちゃんと登場人物もまとめておこうと思う :-)
主要登場人物
エリス 争いの女神
ヘラ ゼウスの妻
アテナ 知恵と芸術の神
アフロディテ 美と愛の神
アガメムノン スパルタ王メネラオスの兄 トロイ戦争(ギリシャ軍)の総大将
アキレス 海の女神テティスの子にしてギリシャ一の勇将
ネオプトレモス アキレスの息子
オデッセウス ギリシャの知将、アテナの助力を得ている
アイアス アキレスの鎧兜をめぐってオデッセウスと争った名将
ペネロペ オデッセウスの帰りを待つ妻
テレマコス オデッセウスの息子
アイオロス 風神 オデッセウスは風神の好意に仇なしたため海をさまよう
キルケ 太陽神の娘で魔術に長けている<!--オデッセウスの部下たちを豚にしてしまう-->
エウリュロコス オデッセウスの部下の勇士
ハデス 冥界の王
テイレシアス テーベの盲目の予言者 オデッセウスの運命を冥界にて予言する
オイディプス 母であるエピカステとそれを知らずに結婚する
アリアドネ テセウスに見捨てられる
シシュホス 永劫に山の頂上へ岩を押し上げるが、押し上げると転げ落ちてしまう
セイレン 甘い歌声で航海者たちを誘う三姉妹
スキュレ/カリュブデス 海の岩間に住む不死の怪物
トリナキエ 太陽神の雄牛の住む地 これを食したオデッセウス以外は命を落とす
カリュプソ オデッセウスを独占しようとするがゼウスの意向を受けて彼を手放す
ナウシカ パイアケス王アルキノオスの娘
デモドコス パイアケスの宮廷歌人
エウマイオス イタカの宮廷の家畜番
アンティノオス オデッセウスのいぬ間にペネロペに求婚した男たちのひとり
最後はテレマコスによるオデッセウスの弓を引いた者がペネロペの妻になるという提案がなされるが、誰もオデッセウスの弓を引くことができず、そこへ乞食に姿をやつしたオデッセウスが弓を見事引いてみせる。そこでアテナの加護を受けたオデッセウスとテレマコスが求婚者たちを一網打尽にして大団円となる。