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ミヒャエル・エンデ
エンデ全集6
いたずらっ子の本

ガイド

書誌

authorミヒャエル・エンデ
editor川西芙沙(訳)
publisher岩波書店
year1997
price2,266
isbn0-092046-4

目次

1本文
2抄録

履歴

editor唯野
2000.10.28読了
2000.11.5公開
2001.4.14修正
2020.2.25文字化け修正

全編を通じて「いたずらっ子」のことを「いたずらっ子」のために書いたという本。内容は全て詩のような形式で収められており、言葉の音というか韻に含みを持たせたものが多い。(訳すのが大変そうな本である。)いうなれば、この本を読めばエンデが子どもにどんな期待像を描いていたかが分かるような内容になっている。個人的にはどんな夢でもかなえてしまう魔術師の善悪を問う「8 いちばんのねがいごと」、腕白が是とされるが今では行くことが難しくなってしまった「20 わんぱく学校」、謎の魔法のことを書いた「21 まだききめがわかっていない魔法のおまじない」、だれもが子供時代には感じたであろう「26 いらずらっ子のなげき」、大人が読んでも考えさせられる内容といってよい「28 道しるべ」などがよかった。また、本書は解説がなかなかよかった。

抄録

28 道しるべ (p.83-85)

その道はよくしっていた
それなのにきみはまよった
おまけによわり目にたたり目
あたりはくらくなってくる

おれはどこにいくんだろ ?
胸に不安がひろがってくる
きみは四つ辻にたってもう
どっちにいけばいいかわからない

道しるべがぽつんと一本
だまりこくってたっている
腕で道しるべはさしている
「ヴァルトゼーへ」「町へ」

これできみはさきへすすめる
どっちへいけばいいかよくわかる
ただし道しるべはたったまま
もとのところにたったまま

道しるべはじぶんのことをよめないし
ことばの意味もわからない
いちどもそこにいったこともなければ
けっしてそこにいくこともない

でもたぶん あとになってきみは
ふっと道しるべのことをおもいだす
きみは道しるべにかんしゃする
道をみつけられたことを

道しるべは風雨にさらされほこりまみれ
でもそれはもう ただの棒杭じゃない――
この世には道しるべのような人間が
いるんじゃないかな

192 (以降は解説より)