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コナン・ドイル
わが思い出と冒険
コナン・ドイル自伝

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書誌

authorコナン・ドイル
editor延原謙(訳)
publisher新潮文庫
year1965
price640
isbn10-213414-X

目次

1抄録
2抄録

履歴

editor唯野
1999.autumn読了
2000.2.27公開
2002.4.9修正

抄録

欧米の著名人というのは作家に限らず自伝を書くのが好きであるが、本書はシャーロッキアンの産みの親であるコナン・ドイル(1859-1930)の自伝である。しかし、内容的にはあまりおもしろくなかった。もちろん、著者の生涯を通じての冒険譚であるとか、ドイルを特徴付ける心霊研究の話も出てくることには出てくるのだが、どうやら彼にとっての「ホームズの作者」という世評はあまり歓迎できるものではなかったらしく、事実、ホームズ誕生のいきさつにも簡単にしか触れられていない。むしろ、自身としては歴史小説家としての自負があったようである。しかしながら、ドイルの多彩な後半生はこのホームズ・シリーズの成功に負うところが多い以上、これは少し手落ちがあるのではないかと思うのは私ばかりではないだろう。

それでは本書に取り上げられている内容をざっと書き連ねてみよう。

冒頭はドイル家の成り立ちと著者がエディンバラ大学を経て医師の資格を得たこと。北極海・西アフリカへ医師として同行し旅をしたこと。その後カリングワースという男との共同経営を経て独立開業し、そして結婚に前後して作家としての足固めをしたこと(ホームズもこの頃生まれた)が取り上げられている。(彼の初期の作品としては歴史小説家として中世を描いた『白衣組』『ニージェル卿』がある。)